８６． ページ37
もちろんそんな言い方された寺坂はカルマに歩み寄っていく。
「なんだカルマ…、テメー俺に喧嘩売ってんのか？上等だよ、大体テメーは最初から───…」
馬鹿馬鹿。寺坂なんかがカルマに叶うわけないだろ。
当たり前のように寺坂の口は止まった。
…カルマが寺坂の顔を片手で鷲掴みにしたから。
「ダメだってば寺坂、喧嘩するなら口より先に手ぇ出さなきゃ」
『それは初耳』
「……ッ！離せ！くだらねー！」
カルマの手を振り払った寺坂は、乱暴にドアを開けると教室を出て行ってしまった。
「……なんなんだ、アイツ」
「一緒に平和にやれないもんかなぁ」
前原に続いて磯貝くん。
困ったような顔で呟く2人に、私ははっとする。
『磯貝君を困らすとはアイツ…！』
「A、そこじゃない」
·
なんやかんやあっての昼休み。
私は行く時にコンビニで買ったメロンパンを食べてます。美味しい。
「ぐすっ」
そんな中、ぐすぐすと泣いてる殺せんせー。
いつまで泣いてるんだか。
「なによ、さっきから意味もなく涙流して」
『ビッチ先生の玉子焼きいーただきっ！』
「あ、ちょ……ッ」
ビッチ先生が殺せんせーの方を向いている隙に奪った卵焼きを頬張る。
待ってこれめちゃめちゃ美味しいんだけど。
美味しすぎて奪ってしまったことに罪悪感が…。
「いいえ、鼻なので涙じゃなくて鼻水です。目はこっち」
『うわ、紛らわしいよ』
…そして汚い。
鼻水垂れ流すなよ3歳児か。3歳児なら許されるけど。
「どうも昨日から体の調子が少し変です。夏風邪ですかねぇ」
『え、超生物なのに夏風邪とかあるの？』
不思議に思ってそう聞けば、殺せんせーは私の方を見て頷いてくれる。
「ええ、先生も風邪くらいはひきますよ」
「Aは？」
『ん？』
ジュースを飲みながら聞いてくる前原に、一瞬なんの話か分からなくなって首を傾げれば、彼はジュースを机に置いて淡々と「夏風邪」と付け足す。
『知らね』
「Aが引くなら夏風邪だよな」
『……何故』
「だって夏風邪はバカしかひかねーじゃ………っぐふ」
私は前原の背中に蹴りを入れて何事も無かったように前原の飲んでいたジュースを奪って飲む。
デリカシーって言葉を覚えた方がいいよこいつは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 427人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
