８４． ページ35
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プール授業が終わり…って、あれは水遊びと言った方が近いのかな。
とりあえずいくらか涼むことができた私はオレンジジュースを片手に壁に背をつけていた。
何故かって？
壁が冷たくて気持ちいいから♡
「うおっ、マジかよ殺せんせー！」
「この前、君が雑誌で見ていたやつです。丁度プールの廃材があったんで作ってみました」
「すげー！まるで本物じゃねーか！」
冷たくて美味しいオレンジジュースを飲みつつも私の前で繰り広げられる殺せんせーと吉田の会話。
正直私には本物を知らないので分かんないっす。
まぁすごいんだろうね、多分。
「…何してんだよ、吉田」
「あ、寺坂」
そんな中、不機嫌そうな顔つきの寺坂が教室に入ってくる。
「い、いやぁ…この前こいつとバイクの話で盛り上がっちまってよ、うちの学校こーいうの興味ある人いねーから」
『分かるよその気持ち』
だってうちの学校は1に勉強、2に勉強、3に勉強みたいなとこあるし？
趣味とかの話なんかしたら鼻で笑われるレベルだし？
…いや、それはさすがに言いすぎたか。
「ヌルフフフ…、先生は大人な上に漢字の漢と書いて漢の中の漢。この手の趣味も一通りかじってます。しかもこのバイク最高時速300km出るんですって。先生一度本物に乗ってみたいです」
あは。殺せんせーすごい嬉しそうだね。
お顔が緩んでますよって。
…あっ、元から緩んでるか。
「アホか、抱きかかえて飛んだほうが速いだろ」
『確かに』
みんなの和やかな笑い声が教室内に響く。
確かにその通りだよね！！マッハ20だぞ！！時速300kmとか次元が違うだろ！
…と、その瞬間。
寺坂がバイクを思い切り蹴り倒した。
勢いよく倒れたもんだから、もちろんそのバイクは壊れる。
「にゅやーーーッ！？」
悲痛な殺せんせーの大きな声。
壊れたバイクを見て、しくしくと泣き出す。
『あーあ…』
ちらりと寺坂を見れば、どうも言えない不機嫌そうな表情でその殺せんせーとバイクを見下ろしていた。
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