８３． ページ34
『せっ…』
プールまで行った私は、思わず息を呑んだ。
なぜなら“プール”と呼んでいいのか微妙なくらいにズタボロにされていたから。
『せっかくの私の涼しいサボり場所があああ！』
「泣くなよ」
『泣いてねぇ！』
ぽんと肩に手を置いてくるのはカルマ。
にしてもこれは酷いっすね、ゴミが多くてただの汚い川みたいになってんじゃん。
「ビッチ先生がセクシー水着を披露する機会を逃した！」
『あっは、超どうでもいい』
「Aお前へらへらしてる場合じゃねーだろ！」
杉野のツッコミにも「えへ」なんて笑って返せば、呆れたような目でため息をつかれた。
そんな目で見ないでくれよ杉野くん。
「ゴミまで捨てて…酷い…、誰がこんなこと、」
『誰だ私の奥田さん困らせてるのは！ぶん殴るから出てこいやコラァ！』
「お前の変わり身の早さが怖いし心配だわ俺」
『カルマ、奥田さんが困ってる！！！』
「はいはい」
あしらうように私の背中をぽんぽんと叩いたカルマに、大人しく口を閉じる。
私でも静かに出来るんですぅ。
「あーあ、こりゃ大変だ」
「ま、いーんじゃね？プールとかめんどいし」
そんなことを言い出すのは吉田と村松。
こんな暑い中でそんなこと言うのは相当な変人だぞ。全く喜ぶところじゃないと思うんだが。
『いやね、確かにプールは泳げない人からしたらめんどいけどさ…』
涼しい場所が壊されたことには変わりない！！
みんなも悲しんでるし？！
「…んだよ渚、A。なに見てんだよ」
『え、自意識過剰』
誰がお前なんか見るかこの野郎。
寺坂見てる暇あるなら委員長の困ってる時もイケメンな顔面見つめてるとこだわ。
「まさか…俺らが犯人とか疑ってんのか？くだらねーぞ、その考え」
『いやいや、誰もそんなこと言ってないですけど』
付け加えるならうちの渚ちゃんのネクタイ引っ張るのを辞めていただきたいです。
やるなら私にして頂いても？まぁ逆に捻り潰しますがね。
「全くです。犯人探しなどくだらないからやらなくていい」
『あ、殺せんせー…』
次の瞬間には、殺せんせーがプールを元通りに直していた。
…そうだ。この超生物チートだったんだ。
『…さすがだ』
「はい、これで元通り！いつも通り遊んでください」
先生の言葉に、みんなは元気よく返事した。
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