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『いつのか分かんない飴出てきたんだけど溶けてて萎える』
「え、いつのか分かんない飴食べようとしたの?」
口元に手を当てて「うわー引くわー」なんて言うカルマはとことんウザい。顔と声と口調が。
…と、私がその溶けた飴の入ったゴミをゴミ箱に向かって投げる。
『はーあ、アイス食べたい…アイスの自販機作ってほしいよね!本校舎だけずるい!!』
「Aにはいいんじゃない?ダイエットになるし?」
『なにそれ嫌味?いや普通に嫌味だよね知ってた!とりあえずムカつくからその整った顔面崩してこい!』
口から出る言葉は文句ばっか。
自覚済みです。
そんな私に、杉野が「お前この暑い中よくそんな喋れるなー?」なんて呆れ半分で呟いていた。
『暑いのを忘れるために喋ってるんだよ!平常平常!まぁ私はこの後は授業サボってプール行ってくる予定だけどっ!』
「泳げないのに」
『黙るんだ岡本くん!!』
「俺赤羽だけど?」
大体ね、何回言わせるんだ。
この校舎にいるよりもあっちの方が涼しいんだよ。
気持ち的にもね!!!
それを分かってる上で言ってくるあたり絶対に嫌味だよね私が泳げないってことに対する煽りだよね!
『性悪男がッ!!』
「あっはは、相変わらずうるっさい猿」
『猿!?初めて言われたんだけど!?』
「あ、ゴリラだった」
『お前ゴリラ馬鹿にすんなよ』
ゴリラはね、心優しいんだよ。
もう1つ言わせてもらうと私はそこまで握力強くないぞ。ゴリラっぽいことした覚えもないぞ。
「───おいみんな来てくれ!プールが大変だぞ!」
唐突だった。
慌てた様子でドアを開くなりそんなことを言い出す岡島に、みんなは教室を去っていく。
気がつけば残ったのは私とカルマの2人だけ。
『たっ、大変だとぉ?』
「その下手くそな演技やめてイラつく」
『そんなこと言われる私が可哀想』
ところでプールが大変とは?
静かな教室でそう呟いた私に、カルマはみんなの行ったプールへ行こうと立ち上がった。
『プールが大変ってなんかもはや文がどうなってんのか分からん』
「Aアホだから言葉が少しでも足りないと分かんないもんね」
『あのねカルマくんはもう少し思いやりの勉強した方がいいと思うなあ』
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