７９． ページ30
そんな私を見ても嫉妬する素振りはゼロ。
腹を抱えて大笑いしてるカルマを見て私は怒鳴りつける。
『笑うな！！足つって溺れて死ね！！』
「…ふは、っだって……A、球技も無理でスキーも無理で、その上泳げないとか…」
ひとしきり笑ったあと、両手を広げて「ごめんごめん、ほら俺んとこおいで？」なんて私を見るカルマ。
…もちろんそんなのは信用しません。
『やだ。私まだ死にたくないもん』
「大事な彼女のこと殺すわけないじゃん……っぶふ」
『いつまで笑ってんだよクソ！！』
私がしがみついていた渚は「そ、そろそろ苦しい…」と死にそうな声を上げる。
「何やってんだ？」
…と、このちょうどいいタイミングでこちらへ泳いできたのは磯貝くんだった。
苦笑いで私と渚、カルマを順番に見た磯貝くんに、私は飛びつこうとする。
『磯貝くん！！…………わぷ…っ、』
ギリギリで届かずに、またも溺れそうになった私だけど磯貝くんがすぐに支えてくれた。
驚いたような表情で私を見て「カルマのとこに行かなくていいのか？」と尋ねる彼に私は必死にカルマのとこにだけは行かないように頼んだ。
·
磯貝くんに陸まで連れていってもらった私は肩で息をしながら岩に座り込む。
「…大丈夫か？」
『死ぬかと思った…ほんとに水嫌い…』
私を見て憐れむように呟くのはカルマ。
…とりあえず100％馬鹿にしてることは分かります。
「可哀想に」
『黙れカルマ…───っていうかびーびーうるさい！』
それよりも気になったのは、殺せんせーの笛の音。
そちらに目を向けると、監視台の上から注意が止まらないらしい先生の姿が。
「硬いこと言わないでよ殺せんせー、水かけちゃえ！」
陽菜乃ちゃんが、ぱしゃっと緩く先生に水をかけた時だった。どこからか可愛い悲鳴が聞こえたのは。
「きゃんっ」
『え…』
この状況をいち早く理解したらしいカルマは、先生の方へと泳いでいく。
…そして、監視台の脚を掴むと激しく揺らした。
「きゃあッ…、揺らさないで水に落ちる！カルマくん！！」
『…あ、まじか理解した』
「…いや別に泳ぐ気分じゃないだけだし、水中だと触手がふやけて動けなくなるとかそんなんないしぃ…」
『とても丁寧な説明をありがとうございます』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 427人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
