７８． ページ29
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「なにせ小さな沢を塞き止めたので水が溜まるまで20時間！」
25メートルのコースの幅も完璧で、殺せんせーの説明に寄ると水を抜けば元通りにもなり、水位を調整すれば魚も飼うことができるらしい。
…どこまでも有能だな。
「制作に1日、移動に1分、あとは1秒あれば飛び込めますよ」
「「い、…いやっほぉう！！！」」
その言葉に、みんなは水着を脱ぎ捨ててプールに飛び込む。
もちろん私はその場に取り残されたんだけど。
「楽しいけどちょっと憂鬱。泳ぎは苦手だし…水着は体のラインがはっきり出るし」
ぷかぷか浮き輪で浮いているカエデに、私も浮き輪さえあればいいのか…と考えながらも木陰の岩に座って足だけを水に入れる。
あ、ひんやりしていて気持ちいい…。
さっきまでの汗がなんとなく引いてきた頃、渚と目が合った。
『渚〜〜！』
手を振っていると、渚はこちらまで泳いできて「水入んないの？」と目をぱちくりさせる。
そんな仕草も可愛いです大天使。
『まぁね、ここに居るだけで涼しいし』
「そーお？」
そんな渚の後ろから顔を覗かせたのは、妙に黒い笑みを浮かべるカルマ。
…泳いで岩の近くまで来ると、いつも通りの口調で喋り出す。
「さっきは暑い暑いうるさかったじゃん」
『もう汗は引いたんで大丈夫でーす』
「…生理？」
『お前マジで溺れて死ねばいいと思う』
「あ、違うか、そっか…」
何かを探るような目でこちらを見つめるカルマ。
…怖いくらいに真顔だ。
『…な、なに』
「ふーん」
嫌な予感が過り、逃げようと後ずさった。
───が、その時にはもう遅かった。
カルマに足首を掴まれた私はぐっとそのまま引かれ、勢いよくプールに落とされる。
『うぷっ』
泳げない私はぶくぶくと水の中に沈む。
ただでさえ高くない身長の私は地面に足が届かないし、もうこのまま死ぬしかない。
…あーあ、私の人生短かったな。
まだ14年ちょっとしか生きてないんですけど。
·
───ザバッと水面に顔を出した私は、げほげほと咳き込む。
「大丈夫？」
『…っげほ、…ごほっ、なぎさぁあ…』
渚のおかげで死なずに済んだ私は、彼の首に手を回してしがみついた。
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