５２． ページ3
「生き返りたいのなら、このクラスでみんなと一緒に学びなさい。性能計算ではそう簡単に計れないもの、それは経験の差です」
外からこちらを睨みつけるように見る転校生くんの目には殺意の色。
…えー、なんで殺せんせー淡々と話してるの…転校生くん怒ってるよ？
「先生が先生になったのはね、
先生の話を聞いたみんなは、顔を見合わせると小さく息を吐く。
「この教室で先生の経験を盗まなければ、君は私に勝てませんよ」
トドメの一撃みたいな言葉。
転校生くんは、わなわなと肩を震わせていた。
「勝てない…俺が、…弱い…？」
白かった触手は黒くなっていて、さっきより威力を増しているようだった。
ビュンビュンと乱暴にそれを振り回す彼。
「やべぇキレてんぞあいつ！」
前原のビビるような声に、窓から覗いていた私は瞬きを数回。
『…威力ってムチくらいなのかな？』
「ねぇ、ボケてんの？…いいからこっち来なよ」
『ボケてないし、罵ったかと思ったら急に優しくすんのやめて』
カルマに抱き寄せられた私はすっぽりと彼の胸に収まる。…なんか暑いんだけど。
そんな状態のままだと周りの様子は分からない。
離れようとしてもぐいぐい抱き締められる私は、抵抗することを諦めてカルマに体を委ねた。
『…寝ていい？』
「だめ」
周りの会話だけを聞いている感じだと、転校生くんはシロさんに連れられて帰ったみたいだ。
しばらく休学するとかなんとか。
·
『っは！！！』
「…やっと起きたぁ？」
『え、寝てた！？』
何故かカルマの膝の上。
…向かいあわせで。
「A、なんて言うか知ってる？」
『は？何が？てか降りる』
「対面座位って言うんだよ」
『なにそれ知らん』
私は降りて自分の席に座る。
クラスのみんなは殺せんせーと話していて夢中みたいだったから、幸い注目は浴びてなかった。
『……転校生すごかったね』
「Aがビビるほどね」
『うるせ』
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