６２． ページ13
カルマの元を離れてみんなのところまで行くのは秒速レベル。
『ひゃあああっ！なにこれ天国！！』
「お、元気だなぁ！どんどん食え！」
『あざますッ！！』
そんなやり取りを聞いた前原が「お前ってちょろいよな」なんて言ったのは聞こえないふりで無視。
目の前にこんなたくさんのスイーツがあるのに食べないなんて人生損しちゃう。
「物で釣ってるなんて思わないでくれよ！お前らと早く仲良くなりたいんだ！」
そう言いながら地面にドカッと座る鷹岡…先生？
今軽く地面揺れたような気がする。そんな音が聞こえたよ。
『まぁ私は物に釣られただけだけど』
「あれ、カルマは？」
『知らなーい、帰ったんじゃない？』
辺りを見回す前原に適当に返した私はエクレアをぱくりと頬張る。
…んぁ、美味しい。幸せ。
「同僚なのに烏間先生とずいぶん違うんすね」
「なんか近所の父ちゃんみたいですよ」
みんなの言葉に、鷹岡先生は「いいじゃねーか、父ちゃんで！」なんて楽しそうに笑った。
「同じ教室にいるからには家族みたいなもんだろ？」
『えっ、じゃあ磯貝くんは私のお兄ちゃんだ』
「え？」
こちらを向く磯貝くん。
ぴょこんと彼のアホ毛が揺れて思わず胸がキュンとする。
…いや、可愛いです委員長。
·
「明日から体育の授業は鷹岡先生が？」
「ああ！烏間の負担を減らすための分業さ！あいつには事務作業に専念してもらう！」
『まじか…』
きっと顔に出てしまっていたんだと思う。
磯貝くんに「こら、」と優しめに頭を叩かれたから。どこかの誰かさんたちとは違って優しい。
………赤髪野郎と女たらしとは違って。
「大丈夫！さっきも言ったが俺たちは家族だ！父親の俺を全部信じて任せてくれ！」
自信満々にそう言い張る鷹岡先生に、出会って一日目の人にそんなこと言われても…という本音は言わないであげた。
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