６１． ページ12
体育の授業が終わり、あとは帰るだけ。
帰ったらとりあえず昨日お姉ちゃんが買ってきてくれたハーゲンダッツ食べて撮り溜めてるバラエティでも見よう。
呑気に体育着の上を脱ぎながらそんなことを考える。
「せんせー！放課後みんなでお茶してこーよ！」
そんな陽菜乃ちゃんの誘いは、あっさりと断られる。…烏間先生も忙しいんだよきっと。
烏間先生の後ろ姿を目で追っていれば、謎の大きな男の人が目に映った。
「…誰だあの人」
『ガタイ良すぎやん』
こちらに歩み寄ってきた男の人は、大量の荷物をドサドサと地面に置いた。
…なんだこいつ。
「やっ！俺の名前は鷹岡明！今日から烏間を補佐してここで働く！よろしくなE組の皆！」
唐突な自己紹介に、カルマは興味無さげな表情で「なにあれ、Aより太ってる」と私に聞こえるように零した。
…よしぶん殴る。
『……比べる相手間違ってない？』
「ん？何が？」
『私は太ってません至って普通です』
「普通の女の子に謝れよ」
『お前が私に謝れよ！！』
私たちがこんな会話を繰り広げている間に、みんなは鷹岡と名乗った男の周りに集まっていた。
…まぁ私は早く帰りたいのでどうでもいいけど。
『ハーゲンダッツが私を呼んでる』
「もう帰んの？」
校舎に向かって歩き出す私に、カルマがひょいひょいとついてきた。
『うん、だって別に明に興味無いし』
「明って誰」
『鷹岡さん』
「馴れ馴れしすぎかよ」
そんな私の耳に入ったのは、カエデの声だった。
「A！エクレアもシュークリームもプリンもあるよっ！」
『なにそれ！！』
思わず反射的に振り向いてしまう。
そんな私の目に映ったのはスイーツを掲げるカエデの姿。
「…つられたね」
『食べるう！！』
「あーあ、ハーゲンダッツが泣いてるよ。俺が食べに行こうかな」
『それは許さん！！』
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