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爽やかで甘い、:07 ページ7

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もう一度カカオフィズを流し込み、箸を軽く握り直すものの、酒の入った金田一は、聞いてもいないのに話し出した。
金田一は、酔うとおしゃべりになるタイプだと、ここでようやく思い出す。

「なんかな、これ叔父に聞いたんだけど。あっ俺の叔父は菊池さんと同じバスケサークルのコーチやってる」
「へぇ」
「菊池さん、すっげー有名な選手だったんだって。中学は県大会ぐらいだったんだけど、高校は自己推薦で強豪に行って、そっからめちゃくちゃにうまくなったらしい。で、高校2年のころ、レギュラーで試合引っ張ってって、インハイ全国4位、ウィンターカップで準優勝だったんだと」

ウィンターカップって何? そう聞こうとしてみるものの、話に入る隙がなさすぎる。
どれだけ話し足りないんだ、こいつ。
ひとつ息を吐いて耳を傾ける。興味がないわけではないから。

「最後の大会、期待に期待されまくって── どうなったと思う?」
「…………怪我」
「そう。靭帯切って、そのまま無理して悪化させて、運動できなくなったらしいんだ」

靭帯断裂──それは、運動をやっている人が最も恐れる怪我だ。確信が持てるのは、ウチのサークルにも、靭帯を壊してからマネジメントをするようになった人がいるから。治る可能性もあるが、20歳となると、それも難しい。
酷ければ年単位でかかる完治にお金をかけるより、諦めた方がいいのだと、その人は笑っていたような気がする。

特に足の靭帯断裂はとても痛いもので、下手をすれば歩行困難に陥るという。膝に関しては、脱臼もプラスされて、激痛が伴うそうだ。手術をする他ない部分もある。
想像するのも億劫なぐらい、ひどい怪我。

「だけど、それで終わるような人じゃなかった。日々鍛えた観察眼で、あっという間にマネージャーとして活躍するようになった。完璧なマネジメントをしていくうちに、ここの大学が目をつけて、推薦で入ったんだと」
「はぁ? マネージャーで?」
「らしい。本人もともと成績も良くて、通知表もオール5だったんだと」

通知表という単語は懐かしいが、オール5は驚きなんてものじゃない。俺も成績は悪くないが、高校の評定は甘いものじゃなかった。
あの人は、化け物かなにかなのだろうか。

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作者名:ふいぁさ | 作成日時:2018年10月27日 7時

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