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あんなに



あんなに、待ち望んだ言葉



“好き“っていう言葉





それをずっとずっと言えなかった


だって、場地くんはあくまで推しで…見れるだけでいい存在だったのに




そんな人と関わって


笑い合って


助けてもらって


初めての気持ちまで植えられた






どうしよう


嬉しいはずなのに、わかんない




ここで返事しなきゃ、早くしなきゃ…場地くんだって勇気振り絞ってくれたんだからきっと






「わ…私は……」


「いや…いいんだ別に」





口を開こうとしたら場地くんはそんな私の言葉を遮った





「……え?」


「俺の好きとお前の好きはちげぇんだろ?」




ちがう




「俺は馬鹿だけど、そういうのはわかるワ」




全然わかってないよ




「だから伝えたかっただけなんだ…ごめんな、A」





だから、謝んないでよ場地くん







こんなに好きなのに、好きて言われて嬉しいのに



ここになってこんなにすれ違ってしまうなって、なんで分からなかったの





私の好きと場地くんの好きの価値なんて全然違ったんだ



ぎゅっと胸が苦しくなって頭がガンガンする





目頭が熱くなっていくのに気づかないふりをした、だって…私に泣く資格なんてない


臆病者の私に、そんなこと…







「…うん、嬉しい、ありがとう」





場地くんに好きって言われても、彼に私の気持ちを否定された気がして…






その日は結局、彼が帰るまでこんな曖昧な返事しかできなかった













場地くんが帰った後、薄暗い部屋の中…なにも考えれずあおむけに寝て天井を見てた





ツーっと両目から温かい液体が滑り落ちるのがわかった




でもそんなのはどうでもよかった、涙を拭う気にもなれず…お母さんが帰ってくるまでの後何時間かをひたすらに待った






“俺の好きとお前の好きは違うんだろ“






「全然わかってないくせに」





ぎゅっと嗚咽が漏れてくるのを我慢した





場地くんのこと、何にもわかってない自分も


何にもわかってくれなかった彼も…みんな、いやだ、本当に嫌いだ




ガチャっと部屋のドアが空いた音がした




「おいA大丈夫……か…え?」





本当にタイミング悪いのね千冬





「…お前、泣いてんの?」






「どうした?」とベッドの横にストンっと座り、仰向けになったまま静かに泣いている私の涙を拭った






「……めんどくせぇな、お前」





そう言って千冬はいつものように「ははっ」と笑った

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優ちゃ(プロフ) - 更新待ってます…!! (2022年2月8日 0時) (レス) @page37 id: 9e14dcf55e (このIDを非表示/違反報告)
らっか(プロフ) - ちょこれーとさん» ちょこれーとさん!!うわーー!!ありがとうございます!!嬉しすぎるお言葉頂きました!!更新頑張ります!! (2021年9月14日 21時) (レス) id: 673fcfd1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - あーもう好きです!大好きです!場地さんも千冬くんも夢主ちゃんも可愛すぎて皆推せます!これからも頑張ってください〜(*´ω`*) (2021年9月14日 19時) (レス) id: 64be1a2e2a (このIDを非表示/違反報告)
らっか(プロフ) - しろいいしさん» しろいいしさんありがとうございます!!そう言っていただけて本当に嬉しいです....!!更新頑張ります! (2021年9月14日 6時) (レス) id: 673fcfd1a8 (このIDを非表示/違反報告)
しろいいし(プロフ) - 幸せな気持ちになります。頑張ってください! (2021年9月14日 1時) (レス) id: 47b7935063 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らっか | 作成日時:2021年9月12日 10時

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