かみあそび５０ ページ7
「一青…一青…っ」
無意識に一青の名を呼んでしまうのは、今までの出来事を受け入れたくない生理的な反応なのだろうか。
まだ涙は溢れていて、この涙が乾かぬうちはきっと私が私でいられるだろう。
ちりぢりに焦げてしまった羽織りはところどころ千切れていて、どうにもそれを見るのが残酷に思えた。
それと同時に突きつけられる現実に、深い悲しみを覚えた心はひたすらに自我を保とうと涙を流していく。
喉が渇いた。場違いなことが頭に浮かぶまでに、私は余裕をなくしてしまっていた。
「奥、奥…っ、どこ、どこに扉なんてあるの…」
切羽詰まった乃神の声に、私はなんとか顔を上げることが出来た。
今私達がいるのは、私でさえほとんど通ったことがないような屋敷の奥深く。
一青の言葉はあまりに曖昧で、どうやら随分と迷ってしまっているらしかった。
「くそっ…ここの屋敷、別荘にしてはでかすぎるだろ…！」
「焦凍、お姉様ちゃんといるよね？？」
「あぁ…心ここに在らず、って感じだけどな」
今の私の心情を簡潔にまとめた焦凍は、額に汗を浮かべていた。
あぁ、そうだ。私はいま、現実逃避をしてしまっている。乃神と焦凍に、現実を押し付けてしまっている。
自分でも子供っぽいのは分かっているけど、色々なことが重なりすぎてどうもはっきりとした意識を保てなかった。
この屋敷だって私を殺す兵器だ。一青もそれを知っていた。けど守ってくれていた。でも私から離れてしまった。
その式から導き出されるのは、すなわち私の身の危険であり、平穏の崩壊だ。
どうにもそれが実現してしまっているのが辛すぎる。今にも壊れてしまいそうに思った。
「あぁもう…！どこにあるか分かんないよ…！」
「くそ、正解を知っている奴はいねぇのかよ…！」
弱音とも取れる言葉を二人して吐き出したときだった。
随分と聞き慣れた…でもいまここで聞こえるはずのない、あの声が聞こえた。
「…君達が探しているその扉は、さっき僕が見つけた扉のことかな？」
警戒したのは反射的に、だ。
素早くその声のした方に視線を向ければ、私と焦凍の目が見開かれる。
先に口を開いたのはどちらだったろう。驚愕に満ちた漠然とした声が、静かな屋敷の中に響き渡った。
「なんで…どうしてここに……っ、
…出久」
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朱猫(プロフ) - カラスさん» ありがとうございます！そんな心温まるコメントを貰って早速ですが、ついさっき右下治りました笑。 っと言うことで！これから小説の更新再開していきます！相も変わらずゆっくりな更新になるかとは思いますが、どうぞ気長に待っていただければと思います！！ (2018年3月20日 22時) (
レス) id: ad9000e765 (このIDを非表示/違反報告)
カラス - 早くなおるといいですね､待ってます (2018年3月20日 21時) (レス) id: 08adc603b8 (このIDを非表示/違反報告)
朱猫(プロフ) - 追伸．お知らせがコメントなのはお気になさらず。ただの作者のミスです。。。 (2018年3月15日 21時) (レス) id: ad9000e765 (このIDを非表示/違反報告)
朱猫(プロフ) - どうなるかは分かりませんが、きっとしばらくはお話の投稿できないんじゃないか…と思います。本っ当に申し訳ありません…！皆様にご迷惑をかけることになるとは思いますが、何卒ご理解頂けると幸いです…！！ (2018年3月15日 21時) (レス) id: ad9000e765 (このIDを非表示/違反報告)
朱猫(プロフ) - 予想打にしなかったまさかの出来事が起こりました…。………なんとキーボードの右下…確定とか改行するところが、なぜかそこだけが、使えなくなりました…。そこだけなんです…（泣） (2018年3月15日 21時) (レス) id: ad9000e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱猫 | 作成日時：2018年2月19日 21時
