手の届かない蓮くんへ。

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正直蓮くんとどうこうなれるとか、なりたいとか


そもそもそんな事は夢のまた夢で、例えばの話で…。






綺麗事かもしれないけど、蓮くんの中にある影の部分を自分の力でどうにかしてあげたかったのが一番の理由だった。






昔から優等生で、分け隔てなく周りに優しくて、ダメな事はダメ、良いことは良いとハッキリ言う。そんなお兄が彼を"いい奴だ"と言ったこと、それに対し矛盾して"やめときな"と言ったその理由をどうしても知りたかったのだ。









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明日目黒さんに会って何か言われても冷静にね。間違ってもバカなんて言うんじゃないよ！＿＿＿＿＿＿＿＿






最後ミーコに言われた言葉を頭の中で繰り返し、待ち合わせ場所へと向かう。






時刻は21時48分。






遅すぎず、早すぎず。ちょうどいい時間。






レンタル彼氏は本来21時まで。時間外は23時までと決まっている。


この1時間で何とかしなければならない。


…何から話そう、


そもそもちゃんと話してくれるかな…








「……ぁ、」







蓮くんだ、もう来てる…


時計台の下で寄りかかりながら携帯を触ってる姿はやっぱりサマになっていて、何度彼を見ても心拍数が上がる。







「…こんばんは、」


蓮「…………」







大丈夫、これは想定内だ…。


蓮くんは仕事を真面目にしてるだけ。


そうは思っても、前回のような反応ではなく、以前より冷たい視線を私に向けた事に、いきなりメンタルがやられそうだ。







「…あの、渡辺未唯子、です」


蓮「……なんで？」


「あっ、えっと…正確には未唯子の代理人といいますか、…その、」






蓮「俺帰るわ」


「あっ、ちょ！お金！！」


蓮「…………」


「お金…払ってるんで、…」


蓮「だから？」







だからと言われましてもですね…


そのまま視線も合わさずその場を離れようとする蓮くんを、どうにか引き止めなくては！と咄嗟に出た言葉。


これじゃ逆効果だったかもしれない…


お客様は神様だ！とか言ってるクレーマーと変わらないじゃん私、







「…えっと、あの…。デート、して下さい」


蓮「…なんで？」


「だからあの、蓮くんとデートがしたく」


蓮「そうじゃなくて。…なんで俺にそんな構うのか聞いてる」








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