That's My Girl 《JW》

泣かないで ページ21

橙 side









斎藤さんが来てからもうすぐ半年がたとうとしていた。




斎藤さんは初仕事ってだけあってやっぱりミスも多かったけど、Aや俺らのマネージャーが何とかフォローしてまだ大事には至ってない。




なんか俺らも謎に斎藤さんを助けなきゃっていう使命感みたいなのに駆られているところもある。




Aやって、斎藤さんがいくらミスしても文句ひとつ言ったことがない。



きっと、俺らと同じ気持ちなんやろな……




マネ「Aちゃん、次の仕事まで一時間時間間違えてました。あと40分くらいしかありません。」




いやいや、そこはしっかりしろや…何回目やねん…




貴「わあ！！それは大変！！！急ぎましょう！！」




なんでやろ、Aはなんでこんなにも怒らへんねやろ？




マネ「ほんとごめんなさい、しっかりスケジュール帳には書いてあったのに…」





貴「そんな過ぎてしまったこと責めても仕方ないですよ！とりあえず車かっ飛ばしちゃってください！！次からは私も把握できるようにしとくので…」




こんなこと何回もあるだろうに、Aが怒ってる姿見たことないし、アフターケアまでしっかりしてる。遅刻なんてしたら、大惨事やのに………




貴「もう、次の仕事らしいから行くね！！じゃあ、また今度！」





そんな笑顔で言われたら俺らも安心してまうやろ…




全「いってらっしゃい！」





なあ、ほんまに平気なんか？？A……







それから何週間かたって、コンサートの打ち合わせのためスタジオに入ると、いるはずのAの姿がなかった。




おかしいなと思った。



だって、斎藤さんは来ているみたいだから。






橙「斎藤さん、Aは……！？」




俺は異常な事態に目を見開いた。





だって、斎藤さん、泣いているから…




橙「なんで泣いてるん！？何があったん！？？」







マネ「Aちゃんが……Aちゃんが…」




Aがどうしたっていうんだ。






マネ「私、Aちゃんに嫌われちゃいました…もう、一緒にいたくないんだと思う…」




橙「……は…？」




正直どんな状況か全くわからへん。




今理解できるのは、斎藤さんが多分Aに怒られて、Aはどこかに行ってしまったということだけ。




けど、Aが仕事をすっぽかすなんてありえへん、出会ってから一度もそんなことなかったし。



橙「Aは必ず来ますから、もう泣かんといてください。」

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