本性 (玉藻) ページ7
酒は人の本性を表す。この言葉が本当ならば、それを普段隠す者はさぞかし大変なことだろう。Aは背後から抱きしめてくる大男の腕に目を向けた。普段はクールぶってスカした顔で闊歩している男が離れたくないなどと曰うとは誰が思えようか。
「玉藻先生、気持ち悪いです離れてください」
「嫌です。せっかくあなたの家までやってきてソファにまで漕ぎ着けたというのにそう簡単には帰りませんよ」
玄関を開ければ顔を赤らめた酒くさい男が立っていた。ずかずかと上がり込んできて手を引かれたと思えばそのままこの格好だ。
これはAの名誉(？)のために言うが決して2人は付き合ってはいない。Aからすればバイト先のカフェの常連さんだ。玉藻が言うには一目惚れらしい。端的に言うと彼女のストーカーである。最初こそ恐怖を感じていたが、玉藻が人間ではないことを知り、警察も役に立たないだろうな、などと諦めた。
その結果、突然家まで押しかけてくる変態へ昇格したのだ。しかしまあ今までは節度ある行為までで治まっていたが(現在の状況に比べ)、お酒が入るとここまで大胆になるらしい。お酒弱いんだ、などと小並感溢るる感想が出てきた。
すると突然玉藻はAの髪の毛に顔を埋め、胸いっぱいに数度、息を吸い込んだ。
「Aさんの匂いがします」
「まあ…そうでしょうね」
そこから店長の匂いがしたなどと言われればたまったものじゃない。しばらくすると、大きく息を吸い込んでいた呼吸が一定のリズムで上下し始めた。背中に感じる息と重さ。Aを離さぬようにと前に組まれていた手はへたり落ちる。まさかと思い立ってみると何の抵抗もなくすんなり立つことができた。そして椅子になっていたこの男はやはり寝息を立てている。
嘘でしょ、と言っても寝息を立てる行為は終わらないもので。肩を少し強めに押したらソファをベットがわりに本格的に寝だした。体を揺さぶってみるものの、目を開ける気配は一向にない。その顔を覗き込むと妙に胸が高鳴った。
「…なんか可愛いかも」
いつものプライドの高い姿は何処へやら。尻尾まで出して、まさに無防備そのものだ。Aは静かにカメラアプリを開いてシャッターを押した。まさか玉藻の写真を自ら撮ることになろうとは。その写真を見返すとやはり可愛いという感想しか出てこない。どうせ起きないこの男には布団をかけておこう。
「ふふっ、ラッキー」
Aはどこか満足げな顔で寝室へ向かった。
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麻衣(プロフ) - またリクエストお願いします！ぬーべーの一目惚れ設定で最初はあしらう夢主だが最終的に恋仲になる感じを書いて欲しいです (9月17日 23時) (
レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - リクエストありがとうございます。またまたリクエストお願いします。鵺野鳴介で夢主が妖怪に襲われて助ける話を描いて欲しいです！ (8月29日 19時) (レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
アース(プロフ) - 麻衣さん» リクエストありがとうございました！鵺野先生との関係性に悩みましたがか、内容に入ってしまえば楽しく執筆出来ました😆またリクエストお待ちしております！ (8月27日 4時) (レス) id: c8585e79fa (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - またまたリクエストお願いします。鵺野鳴介で無理矢理は大丈夫ですか？ (8月19日 20時) (レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - アースさん» ありがとうございます！ (2022年3月4日 2時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アース | 作成日時：2021年8月29日 0時
