俺の思いは届かない 3 (鵺野) ページ32
妖気を隠せるほどの妖怪に纏われたA。触手のような見た目の妖怪の手足とジャージの隙間から見える細く白い腹部。鵺野には限界だった。
｢… 南無大慈大悲救苦救難広大霊感白衣観世音｣
経を読む程度で怯む相手ではないことは分かっていた。それでも鵺野は淡々と読経する。繰り返す度に鵺野の霊力は強くなり怒気も顕著なものになって行った。
｢…鬼の手を、出すぞ｣
キリキリとAの身体を絞っていく妖怪に対して赤い瞳でそう告げた。意地でもAの身体を離すまいとするソレに鵺野は痺れを切らしたか、目にも見えぬ早さでその触手を斬り裂いた。突如支えを無くしたAの身体は地面に向かって一直線に落ちていく。
「え、ちょ、うわぁ！！｣
落ちてきたAに怪我をさせるほどに鵺野は不甲斐ない男ではない。ふわりとAを抱き留めるとすぐさま身体を離した。
｢…す、すみません！怖い思いさせて。これ、怖いですよね｣
斬り裂く瞬間は分からなかったかもしれないがAを抱きとめた時、それから現在の鵺野の左手には封印される前の鬼の手があった。
『左手に鬼？そんな男がモテるわけないでしょ！ぬーべーみたいな心霊オタクなら尚更よ、人間に好きになってもらおうなんざ考えない方がいいわね。つまり隠せるうちは隠しておいた方がマシってこと。なのにあの男は＿』
『キャー！！怖いの嫌っていってるのに！』
生徒にも大人の女性にもそう言われた過去を持つ鵺野。恋したAにだけはこの左手を見られたくなかった。普段はいやいやながらもあそこまで許容してもらっているのに。なのに、これ以上嫌われたくない。
「…か、かっこいい」
「ですよね……え？」
まさかの言葉に鵺野の空いた口は閉まることを知らなかった。
｢人を助ける時の鵺野先生は普段より200倍はかっこよくなるって聞いてたんですけど…そうやって、いつも生徒たちを守っているんですね！｣
「あ、あうん。そうだけど」
突然目を輝かせてそう話すA。聞けばどんなときも頼れる先生を目指しているそう。まあ、それは人間関係だったり進路勉強に関係することについてはそうだろうけど物理は余程のことがないと必要ないだろう。
｢鵺野先生、ご指導よろしくお願いします！｣
｢え、えぇぇ…｣
今までのほぼ軽蔑のような眼差しから尊敬の眼差しに変わったのはいいが、その尊敬の眼差しを愛情に変えるのは長い道のりになりそうだ。
続く
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麻衣(プロフ) - またリクエストお願いします！ぬーべーの一目惚れ設定で最初はあしらう夢主だが最終的に恋仲になる感じを書いて欲しいです (9月17日 23時) (
レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - リクエストありがとうございます。またまたリクエストお願いします。鵺野鳴介で夢主が妖怪に襲われて助ける話を描いて欲しいです！ (8月29日 19時) (レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
アース(プロフ) - 麻衣さん» リクエストありがとうございました！鵺野先生との関係性に悩みましたがか、内容に入ってしまえば楽しく執筆出来ました😆またリクエストお待ちしております！ (8月27日 4時) (レス) id: c8585e79fa (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - またまたリクエストお願いします。鵺野鳴介で無理矢理は大丈夫ですか？ (8月19日 20時) (レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - アースさん» ありがとうございます！ (2022年3月4日 2時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アース | 作成日時：2021年8月29日 0時
