陽が落ちるとき 2 (鵺野) ページ23
「すまんA、これまとめるの手伝ってくれないか？」
クラスの係の仕事が暗くなる前に終わり、もうあんな思いはするまいと帰り支度をしていた矢先、偶然教室に入ってきたぬーべーに呼び止められた。手に持つプリントの莫大な量を見る限りあと一時間はかかるだろう。一時間もここにいれば太陽は沈み始める。家に着く頃には街灯を頼りに歩く他ないだろう。
しかし「な？」と子犬のような顔で言われれば仕方なくでも付き合ってあげたくなる。生徒の私が言うのもなんだが、愛嬌がありすぎる。
「ちゃっちゃと終わらせような」
ぬーべーはそう言うが、その顔はどこか楽しそうだ。
「いやぁ、先生はAとふたりで作業ができて嬉しいぞ。もしかしたら何か出てくるかもしれないからな！」
少し怖い声でそう言うぬーべーに苦笑いをする他なかった。多分だけどぬーべーは私が怖がりなことに気がついている。意中の人さえ知らず知らずの内に怖がらせてしまう彼にとってただの怪談話は得意中の得意である。しかし五年三組の生徒はこんな話をされても平気だなんて、やはりみんな肝が座っている。
「Aの家は郷子と同じ方面だったか？」
「そうですよ、郷子ちゃんの家よりもっと奥のお墓方面です」
「お墓って最近墓荒らしがあった？」
そうそう、と他愛ない話をしながら大量のプリントをまとめていく。郷子ちゃんや広くんと話しているところはよく見るけど、私はあまりこうして話さないからどこか落ち着かない。
「なあ、衝撃的な話教えてやろうか？」
突然ぬーべーが真剣な顔をしてこちらを見つめて来た。あまりにも真剣な顔だから黙って首を縦に振る。
「…玉藻先生ってな、本当は狐の妖怪なんだ」
指を立てて真面目に真面目な顔をしてぬーべー自身が一度は嫉妬に駆られた美形医師の名を出した。そして何かと思えばその美形医師が妖怪であると。
確かに先日まで教育実習に来てたくせに総合病院の医者をしてるだなんて大学に行って医者やってって凄いハードスケジュールだなあ、なんて思った覚えがある。妖怪と聞けばかなり納得のいく理由だ。
「な、なんでそれを私に？」
「別に理由なんかないさ。口が硬そうだと思っただけだ」
あははと笑うぬーべーの左手の手袋はプリントと一緒にホチキスでまとめられて鬼の手の影が見えている。なんというか、あんなに強いのにマヌケだよなあ。
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麻衣(プロフ) - またリクエストお願いします！ぬーべーの一目惚れ設定で最初はあしらう夢主だが最終的に恋仲になる感じを書いて欲しいです (9月17日 23時) (
レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - リクエストありがとうございます。またまたリクエストお願いします。鵺野鳴介で夢主が妖怪に襲われて助ける話を描いて欲しいです！ (8月29日 19時) (レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
アース(プロフ) - 麻衣さん» リクエストありがとうございました！鵺野先生との関係性に悩みましたがか、内容に入ってしまえば楽しく執筆出来ました😆またリクエストお待ちしております！ (8月27日 4時) (レス) id: c8585e79fa (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - またまたリクエストお願いします。鵺野鳴介で無理矢理は大丈夫ですか？ (8月19日 20時) (レス) id: 95b948b8ab (このIDを非表示/違反報告)
麻衣(プロフ) - アースさん» ありがとうございます！ (2022年3月4日 2時) (レス) id: d944f1cd48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アース | 作成日時：2021年8月29日 0時
