銀狼怪奇ファイル【金と銀】３ (ページ27)

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〈３６〉ページ27

冴子「どうせ私が居なくて寂しくなるんでしょ」

耕助「それは姉ちゃんだろ！」

冴子「こうちゃんよ！」

お互いまた睨み合っていた

私はその間に両手を入れて2人を引き離した

「はい、終わり〜。あのね、お姉ちゃんだって隣の大学に進学したのはこうちゃんと離れたくないからでしょ？」

耕助「ほら見てみろ」

冴子「あっ…」

「まあまあ。お姉ちゃんに愛されて私達は嬉しいよ。ね、こうちゃん」

隣のこうちゃんに肩を組んでにこーっとすると恥ずかしそうな顔をした

冴子「くふふふ……照れてやんの」

耕助「う………うるさい！！Aも僕のことそんな扱いするなよ！」

「何言ってるのよ、今更」

耕助「…そうでした」

こうちゃんは悔しそうな顔をした

だけどお姉ちゃんはそんな私達を見て安心したように笑った

冴子「あははは。二人とも元に戻って安心した」

「そう？」

冴子「そうだよ。金狼と銀狼の件でどうなっちゃうのか心配したけど…。Aはちゃんとケジメつけたし、こうちゃんはちょこっとだけ男らしくなったみたいだし」

耕助「ちょこっとってなんだよ！！」

冴子「またやるの！？」

「もういいから！早く帰るよ〜！」

卒業式と大学の入学式も終わって春もそろそろ終わりを告げる頃

「桜もこれで最後か…」

耕助「ほら、一年生待たせてるから行くよ」

「はぁ、一年生の案内めんどくさい」

そう

私が肩を落とすのも無理はない

新入部員の勧誘と案内をこうちゃんが無理矢理、担当にさせられて私まで巻き込まれたのだ

「こんな私が対相手に話せると思う！？馬鹿じゃないの」

というのも

初対面のしかも年下相手ということでめちゃくちゃ人見知り発動中

耕助「あのさ、もう近くで居てくれるだけでいいから！ね！」

この通り！と頭を下げられて今ここに連れられている

「…分かったよ。私の傍に居てよね」

ぶっきらぼうに放った言葉なのにこうちゃんは嬉しそうな顔をしていた

耕助「はいはい」

私達はまた新たな日常を過ごすようになった

心に空いた穴は少しずつ

ほんとうに少しずつ塞がってきている

それはこうちゃんがいつもそばにいてくれて

いつも私の気持ちに寄り添ってくれるから

家に帰ればお姉ちゃんと3人で過ごしてたくさん笑っている

この家族とたくさん幸せな時間を過ごすことで心の安らぎに繋がってるんだろうと思う