銀狼怪奇ファイル【金と銀】３ (ページ23)

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〈３２〉ページ23

私は予め買ってきていた二つの花束を一つは瓦礫の山のてっぺんに置いた

「金狼…安らかに眠ってね。私はいつまでも貴方のこと忘れないから」

もう一つは最後に銀狼と過ごした場所に置いた

あの時のことを思い出すと少し恥ずかしくて

少し甘酸っぱいそんな気分だった

「銀狼、私は死ぬまで忘れないよ。この気持ちも貴方と過ごした日々も。絶対忘れない。プレゼントありがとうね、大切にするから」

またポロッと涙が出たけれどもう銀狼のことで泣くのも最後にしよう

そう決めてここに来たんだから

「ごめんね、最後だけ泣かせて」

そう呟くとサーっと風が吹いた

ひんやりした風だった

空を見上げると星はキラキラと輝き出した

次はなんとなく学校に行きたくて向かった

学校に近くになった時だった

誰もいないはずの学校から声がする

『Aー！』

『姉ちゃん、居た？』

『居ない…』

私はまさかと思って走って学校に向かうとお姉ちゃんとこうちゃんが辺りを走って探しているようだった

「二人とも、どうしたの？」

私は何故そんなに焦っているのか訳が分からず疑問を浮かべた

冴子「いた！！！！もうー！なんであんな置き手紙残して出ていくの！？心配するでしょ！？」

耕助「A！！」

こうちゃんは言葉よりも先に思い切り力強く抱きしめてきた

「いだ、い…こうちゃん！痛い！」

耕助「なんだよ…あんな手紙じゃ心配するだろ…」

「手紙？ちゃんと書いたよ。遅くなるから、気にしないでねって」

耕助「ばか…そんなの気にするだろ！つい昨日まで引きこもってたと思ったらそんな手紙で…」

「…あ、確かに。それもそうか…」

冴子「はあ…全く、Aはもう少し私たちを頼りなさい」

お姉ちゃんは少し怒っていたけど、優しい眼差しに変わった

こうちゃんはめそめそ泣いている

「もう、なに？こうちゃん泣いてるの？」

耕助「だって、Aまでいなくなったらどうすればいいんだよ…」

「私は絶対居なくならないから大丈夫だよ」

冴子「A、それで気分は晴れた？」

「…うん。ケジメつけてきた。もう大丈夫だよ。心配かけてごめんね」

そう言ってニコッとするとお姉ちゃんも笑ってくれた

冴子「Aは偉いね。よく頑張ったね」

頭を撫でてくれて少し歯痒い感覚だった