銀狼怪奇ファイル【金と銀】３ (ページ18)

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〈２７〉ページ18

【メモ】
誕生日おめでとう。

お前は笑った方が、そこら辺の女よりマシな顔になる。

耕助は甘っちょろいから、お前がそばに居てやれ。

耕助の机の裏を見ろ

こんな不器用な手紙でも愛がこもってて自然と涙が溢れて泣き崩れた

実は自分の行く末を決めてたのかな…

そんなことさえ感じた

お姉ちゃんは銀狼を頑なに認めなかった

だから辛かっただろうな

私は寄り添えていたんだろうか

『…A』

そう呼ばれて扉を少し開けて覗くとこうちゃんが俯いて立っていた

耕助「それ、制服のポケットに入ってたんだ。あいつ、どさくさに紛れてそんなの書いてたみたい」

「うん…」

こうちゃんは申し訳なさそうな顔をして顔を上げた

「…なんて顔してんの？堂々としなさいよ」

私はこうちゃんの情けない顔に少し笑った

耕助「正直どうしていいか分からなかった…。でもこれでいいんだって思わなきゃ。銀狼に恥じないように生きなきゃって思ったんだ。…だから」

「いいんだよ。こうちゃんと銀狼が決めたことなんだから、これでいいんだよ。私のことは、気にしなくていいから…」

耕助「でも、あれから外もしばらく出てないじゃん」

「私の気持ちの整理がつくまで考えたかったの」

耕助「…また泣いてる」

私は知らない間にまた涙が零れていたようだった

こうちゃんがすっと拭ってくれた

銀狼とは少し違う優しさだった

同じ体だったのになんだか少し違うんだなとどこか冷静に観察している自分もいた

耕助「みんな心配してるよ」

「…分かってる」

耕助「姉ちゃんもおじさんも…僕も」

「分かってるよ。全部わかってるよ。どっちが死のうが後悔すんなよって言われて覚悟したよ。…覚悟したし、受け入れようとしたよ。そうしたのに……全部っ、一気に受け入れろなんて無理でしょ…っ」

そう言うと私は崩れて座り込んだ

こうちゃんは目の前にしゃがみこんで優しく包み込んでくれた

耕助「そうだよね…。でも銀狼みたいに、なんて僕は出来ないけどAのそばに居るよ」

銀狼の体はこうちゃんの体でもあって

ああ、この感触だ

だなんて、一人で噛み締めてた

『なに？…こんな夜中に A！？どうしたの！？大丈夫！？』

その声に振り向くとお姉ちゃんを起こしたようで部屋から出てきた