銀狼怪奇ファイル【金と銀】３ (ページ15)

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〈２４〉ページ15

銀狼「返せ…。それは耕助から預かった…」

金狼は言葉も言い終わらず柱に蹴り倒した

金狼「知ってるよ。小早川先輩への誕生日プレゼントだろ？」

レーザーは金狼の持っているリモコンで動いた

完全に銀狼に向かっていた

金狼「そのポケットに入ってる解毒剤には誘導装置が仕掛けられている」

銀狼「なるほどね。それで俺が移動する場所が筒抜けだったって訳か」

金狼「そして今度このスイッチを押すとレーザーはその誘導装置を狙う仕組みになっている。怖いか？怖いなら命乞いしてみろ。あの女みたいにな」

金狼はテレビ画面に吉川さんが棺桶で眠る姿を映し出した

冴子「玲子ちゃん…」

「吉川さん…どうして…」

金狼はカセットテープを巻き戻して再生した

『愛してる、力くん愛してるわ』

とても投げやりに放たれた言葉だった

冴子「酷い…あんまりよ」

金狼「誰でも死の恐怖を味わうとこうなるんだ。さあ、銀狼、お前も言ってみろ。助けてくださいって」

銀狼「御託並べる暇があるならさっさと殺れよ」

金狼「何だと！？」

銀狼「俺に命令できるのは俺だけだ。誰の指図も受けねぇ」

銀狼は立ち上がって金狼と正面から睨み合った

金狼「じゃあ望み通り殺してやるよ。お前が死んだ後、Aは俺の物だからな」

金狼にガシッと肩を掴まれた

「やっ、…やめてよ！離して」

銀狼「…やってみろ。絶対、Aは渡さねぇからな。俺からも耕助からも」

金狼「……死ね」

冴子「やめて！！！」

お姉ちゃんが必死で叫んで居たけれど私は言葉も出なくて目を閉じた

リモコンのスイッチを押した

レーザーは銀狼ではなく金狼の胸に放たれた

私は驚いて腰が抜けた

金狼「どうして…」

銀狼「お前の誘導装置に気が付きコンパクトに仕掛け直しておいたのさ。俺達を甘く見すぎたようだな」

金狼「っ…、なんで…」

金狼はコンパクトを取り出すと手から滑り落ちた

床に倒れ込んでしまった

私はそばまで行って座り込んだ

「金狼、…ごめんね」

金狼「……もういい」

「寂しかったんだね。苦しかったんだね…」

金狼の頭を撫でてやると拒否することなく受け入れていた

目には少し涙を浮かべながら

銀狼「そんな奴に構うな」

「………ごめんね」

そう言って金狼のそばから立ち去ってお姉ちゃんを抱きしめた