銀狼怪奇ファイル【金と銀】３ (ページ14)

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〈２３〉ページ14

そう言葉を放つと扉を開けた

扉を開けた時、金狼はカウントしていたようだった

金狼「5.4.3.2…」

私達は金狼の目の前に立った

銀狼「久しぶりだな、金狼」

金狼「待ちわびていたよ、この瞬間を」

銀狼「散々回りくどい手使いやがって、なぜ俺にすぐ勝負を挑んでこなかった」

金狼「俺の16年間の苦しみをたっぷり味わってもらいたかったからさ」

銀狼「なにか苦しみだ。人を虫けらのように殺してきたお前にそんなこと言う資格はねぇ」

金狼「黙れ！お前に俺の何がわかる。自分の知能が高すぎるばかりに、父さんは俺の事を実験材料としてしか見てはくれなかった。完全体である俺は父さんに愛されたくて、頭を撫でてもらいたくて必死に期待に応えようとした。なのに父さんが愛したのは失敗作だったはずのお前だったんだ」

金狼は昔の思いをいつまでも心の奥底に眠らせていたなんて驚いた

金狼「1年前あの学校で再開した時は本当に驚いたよ。文字通り運命のイタズラってやつだ。遺伝子操作で生まれたのにどうしてこんなにも違うのか、自分の運命を呪ったね。お前が憎かった。しかもAまで手懐けて…許せなかった。俺のAだと思っていたのに」

銀狼「その憎しみの為だけにあれだけの殺戮を繰り返したのか」

金狼「ああそうだよ。だけど、途中でAの鋭い観察力に捕まったのは誤算だった」

銀狼「二宮ゆりこはどうなんだ？」

金狼「俺のそばから離れていこうとしたからさ。彼女はAと同じように俺の唯一の理解者だった。ただ一人信じ合える人間だった。俺の秘密を知った途端、豹変した。俺をバケモノを見るような目で…。銀狼、お前には分からないだろう」

銀狼「分かりたくもねぇ！！」

銀狼が動き出そうとした時腕を掴んだけど振り払われ一歩動くとレーザーが飛んできた

冴子「銀狼！！」

銀狼「うるせぇ！俺はお前の為に戦ってるわけじゃない！耕助にこの体を頂いた借りを返してるだけだ」

銀狼は金狼に向かっていくも相手は痛そうな急所ばかり狙う

レーザーのこともあって私はその場から動こうにも動けず立ち往生していた

銀狼が床に倒れ込むとポケットからコンパクトが落ちた

「銀狼…！」

倒れ込んだことで体が前に出るとレーザーが反応していた

銀狼「動くな！じっとしてろ」

金狼は落ちたコンパクトを拾って自分の胸ポケットにしまった