最大の愛を君に【黒川イザナ】 (ページ9)

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九話ページ9

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イザナside

1度こぼれた涙は次から次へと溢れ出した
けど泣き顔を見られたくなくて必死に押しとどめる

優｢なぁ、お前って親に怒られたことある？｣

聞こえるか聞こえないかの声
無視することもできたけどただ何となく答えた

イ｢あるよ｣

優｢そっか…｣

数分間の静寂の後に優樹が口を開いた

優｢ごめん｣

イ｢え、｣

優｢俺イザナが羨ましかった｣

意味がわからない
明るくてクラスの人気者でいつも楽しそうなのが俺の知る優樹
どう考えても羨ましがられる事なんて無かった

優｢俺さ、親に叱られたこと無いんだよ。｣

イ｢………｣

話を聞けば優樹は親に叱られたことも褒められたことも無いらしい。さっき庇ったのも世間体を気にして言っただけ。きっと今日会ったことも何事もなかったかのように終わるんだろうと

優｢この前家から出てくるイザナを見たんだ。すっげぇ嬉しそうにイザナは笑ってたしお母さんも笑ってた、母さんの笑顔なんて見た事ないしどっちが本当の家族なんだろうな｣

なんて言っていいかわからなかった
自分は少なくともお母さんの子供になるまで愛情を受けたことは殆ど無かった
親がいる奴は当たり前に幸せなんだろうなって思ってた

優樹は｢重い話してごめん｣と力なく笑った

イ｢俺は施設で育ってお母さんに引き取られて幸せだけどやっぱり血は繋がってない。絶対本当の親子にはなれない。だから俺は優樹が羨ましい｣

優樹は｢そっか…｣とまた笑った

そして話し合いが終わったのかお母さんと先生が出てきた
いつも通りのお母さんとどこか申し訳なさそうな顔をした先生

先｢イザナ、すまなかった。俺がもう少し君の事情について配慮していればよかった｣

続いて優樹の親にも謝ってもらった
けど俺は謝罪なんてはどうでもよかった

イ｢俺が言えたことじゃないんですけど、もっと優樹のこと、ちゃんと見てあげてください｣

そういうと優樹は泣いた。それを見て優樹のお母さんは優樹を抱きして｢ごめんね｣と言った

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.夢主side

あの後、先生と話をして帰宅することになった

イ｢今日は、ごめんなさい｣

消え入りそうな声でイザナが言った
優樹君の話を聞いた後、お母さんと2人で話した
褒めも叱りもしなかったのは親としての接し方がわからず嫌われるのが怖かったから、らしい
正直わからなくもなかった。私もイザナとの接し方に戸惑ってばかりだから