最大の愛を君に【黒川イザナ】 (ページ2)

今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:19,314 hit

二話ページ2

.イザナside

山本ｻﾏについて行くと施設の前に黒い車が止まっていた

山本ｻﾏは荷物をトランクに乗せて運転席に、俺は後部座席に乗り込んだ

車が発進した
走行音しか聞こえない無言の空間
気まずくて外を眺めていると話しかけられた

『すまなかった』

イ「え、」

『私は君の意志も聞かぬまま引き取った、離れたくなかった子もいたかもしれないのに』

イ「あ、いや、大丈夫、です」

正直驚いた
まさか謝られるなんて

『これからは君の意志をなるべく尊重したい。何か欲しいものやしたいことがあるなら遠慮なく私に言って欲しい』

ミラー越しに目が合った
その目は優しく細められた

(少しは…信用してみようかな)

これからの生活は不安の方が大きいけど地獄では無さそうだと思った

＿＿＿＿＿＿

『ここが今日から私と君が住む家だよ』

車で走ること20分
俺は新居の前に立っていた
正直、大人一人と子供一人が住むには大きすぎる一軒家

イ「こ、ここなのか」

『そうだよ。ここ場地つい最近工事が完了したから私も住んで間もないんだ』

山本ｻﾏに続いて家に入る
他に住んでる人は居ないので部屋は自由でいいと言われたので2階の庭が見える部屋にした

荷物を整理する
といっても差程時間はかからない

『明日家具を買いに行くんだが一緒に来ないか？』

イ「えと、…はい。行き、ます」

一瞬戸惑ったけど俺は行くことにした
行くことを伝えると山本ｻﾏは嬉しそうに微笑んだ

『荷物の整理が終わったらリビングにおいで。これからの事を話そう』

(ついに来た……)

これからのこと、つまりは俺の処遇が決まる

イ「荷物の整理は終わっ、りました…すぐに行く、ます」

山本ｻﾏは少し目を丸くして『そうか』と低い声で言って部屋を出ていった

(なんか俺したかな)

叱られることを覚悟して俺はリビングに行った

＿＿＿＿＿＿＿

夢主side

今日、あの子＿黒川イザナを引き取った
最初に会った時は少し警戒されていた
初めて会った人から君を引き取るなんて言われて警戒するのは当たり前だと思う

施設から出て彼を観察して思った事はあまりにも荷物が少なすぎる。段ボール一箱どころか半分にも満たない荷物

用意した部屋に置かれただけだった

(この子はどんな生活を送ってきたんだ)

いくら施設の育ちだからと言ってもこんなに少ないはずはない

(これは話し合う必要があるな…)

私は彼の部屋を出た