白い尾とあなたへ

口寂しい kntk ページ36

A視点
ちょっと口が寂しくなった。
でもお腹がすいてる訳でもない。パソコンに向かって作業をしていると、デスク周りに置いていたお菓子が切れていた。
『なんかあったっけかな。…あ』
リュックを漁っていたらだいぶ前に買った小型シーシャがでてきた。
『ニコチン タール フリーだし…マンゴー味とか美味しそうだし…。これでいっか』
吸ってみると美味しくてわりとハマりそうだった。吸い方に慣れてきてからは無心でパソコンと向き合って数時間。部屋のドアをノックされる。
『はーい』
「どーも。これ買ってきたよくっきー、ん?」
『ん?ありがとう』
「いい匂いする」
『あーこれかも。ただの水蒸気だよ美味しいの。吸う?』
「一口。…あー、そういう感じね」
『そうこういう感じ』
吐き出した煙を眺めながら、持ってきてくれたはずのクッキーをしれっと一枚食べるきんとき。
「なんでいきなり?」
『口寂しかったからなんとなくだよ』
「ふーん。」
顔が整ってるな。白い水蒸気越しの涙黒子が妖艶だなぁ。なんて思っていたら、こちらを流し見て半分まで食べたクッキーを咥え、顔を近づけてくる。
『え、な、なん、ﾑｸﾞｯ』
「こっち食べな」
食べかけのクッキーを口で口に渡され、ちょっとびっくりしたけれど、拗ねてるのかななんて考える冷静な頭は残っていた。
『そうひまふ』
「あと紅茶」
『気が利く〜』
「あと…」
『まだある?』
紅茶を一口飲んで、隣に屈んだ彼を見る。私の座っているデスクチェアの背もたれに片手をついて、体重をかけてくる。え、近いな今日。なんて思っていたら静かにキスを降らされた。
『んん、なんd』
「口寂しいなら俺で良くない?」
ちょっとしてやったりな顔で下から見上げてくる彼。流れで腰あたりに手を回すようにハグをしてくる
「なんか、ほかの匂いがするって感じで、嫌かも」
『…か、可愛いこと言うね』
「カッコつけさせて欲しいので、これはおしまいね。」
とシーシャを没収される。もったいないなー。まあいっか。



『あ、クッキー』
「はーい追加持ってきまーす」

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