白い尾とあなたへ

寝られない kryn ページ32

A視点
寝られない。寝つきが悪い。起きてからも眠いけど二度寝はできない。
明らかに悪い睡眠の質にため息しか出ないが、今日も夜はやってくるわけで。スマホを弄りながら眠気がくるまで待つ。寝る部屋は彼と別だから、夜更かししてもバレないし。
『あーあ、後ちょっとで日付変わるよ。なにやってんだろ』
独り言を呟いてみるも、それで眠くなる訳でもない。夜中の3時に寝て6時に起きるような生活。
『なんか、なんでもいいや。音楽聴きながら寝るか』
朝起きたらきっとどこか行っているだろうけど、ワイヤレスイヤホンを耳にはめる。大きめの音量で両耳で流して目を閉じる。

少し時間が経ったのだろうか。右耳のイヤホンがどっか行った気がする。一瞬寝れてたのかな。でもここで目を開けたらまた寝られなくなる。
右に寝返りを打ち、右耳を枕で塞ぐようにして寝ようと試みる。あー、また時間かかりそうだな。
ん、何かイヤホンの向こうから聞こえたような…?
「おねーさん、こんなものつけてたらもっと寝れないよ」
『起きてたの』
左のイヤホンを外され、きりやんの声がする。上を向くと、優しく微笑む彼のメガネを外した顔が見える。
「んー?最近隈が目立つから、ちゃんと寝れてんのかなと思って」
『バレてた?』
「少しは人を頼るってことを覚えなさい」
よっ と。なんて言いながら布団に潜り込んでくるきりやん。枕抱えてますけどこっちで寝る気満々だったの?
「こっちおいで？ほら」
枕を自分のものと私のものを入れ替えて、なおかつ私の顔がきりやんの胸の辺りにうずまるようにハグをされる。
「ゆっくりおやすみ」
『いい匂い』
「俺の匂い大好きだもんね。ハグも好きでしょ。こうやって俺で包んじゃうようにして、独り占めされるの安心するから好きでしょ」
『うん、大好き』
「ははっ、素直だね〜。」
一定のリズムで背中をポンポンと叩かれ、徐々に眠気が増す
『きりやん』
「はーい」
『大好き』
「…俺も」
私がもうすぐ寝るであろうことを察した彼は私の髪を撫でて、おでこや髪にキスを降らせる。朝起きたら、これが夢でどっか行っちゃってたりしませんように。そう願って彼のスウェットをぎゅっと握る
「俺はここにいるよ。Aが起きても俺が抱きしめてるから。」
私の心を読んだのか、甘い声で安心させてくれる。もう眠くて声も出したくないけれど、せめてもの返事でおでこを彼に擦り寄せた

「おやすみ」

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寝られないな〜と思って書きました

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