白い尾とあなたへ

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『ただいまぁ』
「おかえり。今日出前取った。パスタ」
『お、美味しそうありがとう〜』
リビングからくつろいでいるであろう彼の声が聞こえる。
ドアを開けてリビングに入る。ふわっと風が起こる
「…は?」
『え?』
「ちょっと…こっち来て」
酷く驚いた顔をして、ソファに座ってこちらに背を向けていた彼が振り向き立ち上がる
『な、なに、手洗わなきゃ』
「いや、ダメだ」
『なんで?』
まだバレンタインじゃない。買ってきた香水がバレてしまう。すぐに部屋に隠したいのに。
「何か隠してる、のか?」
『…いくら鈍感でもこの時期に隠し事するくらい許してよ』
バレンタインサプライズくらいさせてよ。

sm視点
違った。確実に違った。いつもはもっと花のような香りなのに。Aに近づくと確信に変わった。
「何か隠してる、のか?」
『…いくら鈍感でもこの時期に隠し事するくらい許してよ』
そんなことを言われてもマイナス思考に陥った頭では、新しい男ができたからバレンタインを新鮮な気持ちで迎えようとしているようにしか考えられない。
男物の、香水の匂い。最近はそういうのを付ける女性もいるらしいが、香水なんて、持っていないはず。
あぁ、そうか。終わりか。何が上手くいかなかったんだ?何がダメだった?何が
『スマイル?どうしたの?』
俺は酷い顔をしているのだろう。心配そうにのぞきこんでくるA。
「終わりか?」
『何が?』
「俺は、もう、いらないんだな。いやメンヘラみたいな言い方は辞めよう、好きじゃなくなったんだな。」
『え?なんで?』
「いいから。じゃあもう、元気でな、怒ってないから」
『待って、なんで!?何が!?そんないきなり、ごめんね、どうして?私なにかしちゃった?秘密にしたいことがあるの、嫌だった?』
「正直に、ストレートに話す。Aから知らない匂いがする。男物の香水の匂いだ。新しい、彼氏にしたい人でもできたんだろ」
『…ごめんね、』
ああ、ほら。
『…違うんです!!!!これっ!!!!!!』

続きます

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