わんだふるでいず (ページ3)

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すーっと息を吸う

「ずーっと、ほっくんが1番大好きだから！」

ぽろぽろと溢れる涙

あぁ、泣いちゃうとここを旅立つこと後悔してるみたいじゃん。

手の甲で拭っても拭っても、止まらない

そんな時ギュッと大好きな匂いと温もりに抱きしめられる

「…俺もお前が1番好きだよ」

「っへ？」

「ふふっ、俺たち一緒だね」

"いっそのこと付き合っちゃう？"

なんて耳元で囁かれる

近くにいる警備員さんや社員さんには気づかれないようにしてるんだなって冷静になってる頭が解釈した

「…いいの？」

「みんなにはまだ秘密な？」

「うん！」

頷けばよしよしとまた頭を撫でられる

私は犬か。いや、ほっくんの方がわんこなんだけどなぁ

その時手に持つスマホが揺れる

あ、そろそろ本当に時間だ

「…そろそろ？」

「あ、うん。行かなきゃ」

「また夜連絡するわ」

「うん。待ってる…

じゃあね、頑張ってね」

これはアイドルだった鳴上Aから、アイドルである彼に贈る言葉

「Aも頑張れよ」

これ以上ここにいるとまだいたくなっちゃうから
今度こそ建物の外にでる。

後ろは振り返らない

大丈夫。私の手には大好きな人からの贈り物と
大好きな人との新しい関係があるから。

ここまで大きく育ててくれてありがとう。
大好きな仲間をくれてありがとう。

まだ少しだけ寒さを残す空気の中、仲間が待つ場所に向けて足を動かした

これは、

私の、

私たちの始まりのお話

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