わんだふるでいず (ページ12)

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楽屋に戻ればすぐに滝沢くんが小さな花束をもってやってきた

「お疲れさま」

「お疲れ様です。ありがとうございます」

小さな花束は滝沢くんの手から私の手に

「無理言ってでも頼んでよかったよ」

「お力になれたのならよかったです」

「…頑張れよ」

「もちろんです」

滝沢くんはやっぱ情熱があって、優しくて、かっこいい人だ

話し込んでいると廊下がドタドタとうるさくなって

「失礼します！！」

とやってきたのはシャワーを浴びたばかりの

「…翔太くん」

「やっぱりなるだった…」

いつの間にか滝沢くんは居なくなっていた

「この歌聞いた時からずっとなるだって思ってた…」

「バレてた？」

「バレバレ笑」

思わず笑い合う

「まさか、千穐楽に生歌で出てくると思わなかったけどな」

「お兄ちゃんたちの大切な舞台の千穐楽に花を添えに来ました」

「ありがと…」

準備しなくていいんですか？って言ったら
あ、って思い出したように声を出して

みんなに会ってく？って聞かれたけど、
懐かしさに鼻の奥がツーンとしそうな予感がしたから

断った

楽屋を去る翔太くんを見送って2幕が始まるまでに準備をする

2幕が幕が上がったのを確認して新橋演舞場を出た…

さよなら、私の春。
後悔はない。

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