【学園アリス】meaning II

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「いてて……蛍さん……果たして このクリーム効き目あるんだかないんだか……」


ブスブスと焦げだらけで転がっているのは、監 禁されていたはずの佐倉だ

ボロボロな姿をよくよく見れば、スカートではなくズボンを履いている。どーいう経緯だ、というツッコミはさておき、いつまでもこうしているわけにはいかない


『電流結界が破れた事察知したら すぐに学園の先生がとんでくる』

「に……逃げな……」


わたわたと足を縺らせながら立ち上がる


『おじーさんはこの付近にきっと宿をとってるハズ。まずそれを探すのよ』

「は……っ 逃げる前に探さな……」


キョロキョロと辺りを見回す佐倉は、完全にパニック状態――故に、怪しい男達にも気がつくわけがない

こんな夜中に。人通りも少なく。なんて好都合な。そう思いながら、彼らはニヤリと気味の悪い笑みを浮かべるのだ



(じーちゃん分かりやすく野宿とかしてへんかなー)



野宿、というぱっと思いついた考えに身を委ねるように、視界が狭くなっていく

直感でとにかく進んでいく佐倉の後ろに、忍び寄る影――刹那



「＿＿っ！？」


息が詰まった

声を出そうにも、ゴツゴツとした硬い手に口を塞がれている。知らない、男の手だ


「おい 気をつけろよ。どんな力(アリス)持ってるか分かんねーぞ。さっさと気絶でもさせて車に放り込め」


(追って…じゃないっ 誰！？)



逃げなきゃいけない。そう分かっていても、足が動かない。石のように、まるで地面に固定されているように、動かない


まずい。自分の顔が青ざめていくのがわかる



(こわい……っ！)



強く、目を瞑った時だった







――バチッ



火花が弾けた音がしたかと思えば、ぐえっ、と潰された蛙のような声がし、掴まれていた手が離れた

とんっ、と軽やかに地に足を着いた彼女の髪がふわりと揺れ、パーカー姿の背中が振り返る



「………邪魔」



不機嫌そうに眉を顰め、鋭い瞳でこちらを睨む少女

薄らと目を開いた佐倉は、じわりと涙が浮かんでくるのとともに、どう表しようもない"懐かしさ"を感じた



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