【学園アリス】meaning II

egg ページ1

「はぁ？ ドッジボールだあ？」



そ！と、ボールを手に笑顔を浮かべる佐倉


彼女のことを一瞥した日向と乃木は、何も反応することなく漫画に視線を戻す。後ろでテキストを解いていたAに至っては、顔を上げることもない


物が浮いたり、人が浮いたり、相変わらず好き放題の教室で、佐倉の存在は良くも悪くもある意味目立つといえる



「みんなで楽しく運動すると いろんな事忘れてすっきりするよー。これで陰険なイジメともおさらばして……アイタッ」


日向の取り巻きの1人が佐倉に向かって空き缶を投げた


「はあ？何言ってんだこいつ。気色わり」

「だれがやるかバーーカ」

「ボケ」

「キエロブス」


ぐさぐさと絶えず佐倉の心に突き刺さる悪口

先程までのにこにことした明るい笑顔は、一瞬にして剥がれ落ちた



ボン…バン…ボバン……


「ふう〜〜〜ん そっかそっかー 遊びといえどウチとの勝負勝つ自信がないからそうやって逃げるわけねぇー。ほっほー 弱虫なこって」


バウンドするボールの音とともに、耳に届いた佐倉の言葉。ぴくっと彼らの動きが止まった


「普段えらそーにいばりちらしてらっしゃるくせにねぇー」


冷や汗を流す飛田の声はもはや誰にも聞こえていない。佐倉のどす黒い怒りと、見事佐倉の挑発に乗った彼らの怒りは、瞬く間に教室中に充満する


互いに顔に青筋を浮かべている彼らの目が合った時、全ては決まった――



＿＿＿＿＿
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ルールは公式

アリスの使用は一切不可。使った場合は即アウト


「――ウチが買ったら金輪際いじめや先生いびりをやめろ！」

「うるせー パシリがずーずーしいっ」


本来の目的はお空の彼方へ飛んで行った今、佐倉の目標はただ目の前の奴らをこてんぱんにすることだけ


「そっちこそ 俺らに負けたらお前らチーム、一生俺らの下僕だからな。ねえ！ 棗さんっ」


「……そーだな」



未だに漫画を読み続けている日向が、ぼそりと答える



「それくらいのリスクしょって貰わねーとやる気でねーな……」


声からしてやる気のなさが滲み出ている日向

影響力のある日向が賛成したことは、とても大きいことだ。かなり自分が危険な立場にいるということを感じた佐倉の額を、冷たい汗がつーっと流れた



「勿論みんながどっちのチームに入るかは個人の自由だ。どーする星なし」

(チーム全員が下僕…)


汗をタラタラと流す佐倉の脳裏には哀れな思いをしている生徒達の姿が映る



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