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「Aちゃんっ」
「Aっ!」
後ろのドアから教室に入ったAに、生徒達が一斉に注目する
予想の範囲内だったため、Aは驚くことなく、安心させるように控えめに笑った
「何もされてない?」
「うん。傷の手当て手伝わされただけだから」
そっか、と胸を撫で下ろした魚住
その隣で、河合が口を開いた。Aを、訝しげに見つめながら
「でもさ、なんでわざわざAなの?」
「確かに」
同意するように頷く花岡
(あ、変わった)
濁った水に、藍色の絵の具が混ざる
まるで、人事のように感じた
追い詰められたこの状況で、全員の神経がピリピリしている中で__Aが柊に呼ばれたことは、怪しすぎた
「たまたま視界に入ったから、じゃないかな」
「…そうなのかな」
動揺するようなことも無く、普通のトーンで言ったA
呟くように言った金沢の声を無視して、自分の席に向かって歩く
(…こうなること絶対分かってたよね)
天井につけられた監視カメラを、今すぐ睨みつけたい気分
恐らくモニターでも見ながら、ニヤニヤと口角を上げている姿が、嫌でも想像出来てしまった
「あたしは、別にアンタが動画作った犯人だとか思ってないから」
諏訪の後ろを通った時、聞こえたその声に、Aは足を止める
「Aがぶっきーの協力者だとか、裏切り者とかかどうかは知らないけど」
ぶっきらぼうに言った彼女に、Aは「うん」と返すだけだった
(私が何を言ったって、この状況は変わらないし)
日はもうすっかり落ちた
暗くなった空に同化するほど、この教室の空気は暗く重たい
自身に向けられる疑いの視線。それを無視するように、Aは組んだ腕に顔を埋めた
そんな彼女を見つめていた茅野は、スカートをきゅっと握りしめた
『Aは、すごくいい子だよ』
いつか澪奈が、そう言っていた
あの澪奈にそう言われていることが、すごい。と思った
それと同様に、少し嫉妬した
景山と並び、「全国レベル」と呼ばれていることにも関わらず、それを自慢するようなこともない
いつだって飄々としていて、何事もクールにこなしてみせる
蒼井Aは憧れの存在だった
____思えば、景山澪奈と蒼井Aが会話をしている所を、見たことがなかった
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ミア(プロフ) - あんず飴さん» うわああめちゃくちゃ返信遅くなってしまったほんっっっとに申し訳ないです!!!コメントありがとうございます!!!! (2019年8月31日 20時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
あんず飴 - 柊先生落ちがいいです!! (2019年4月21日 18時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - イツカさん» コメントありがとうございます!何気に柊先生リクエストは初めでです笑更新頑張ります!! (2019年3月10日 16時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
イツカ(プロフ) - 柊先生がいいです!更新頑張ってください! (2019年3月10日 16時) (レス) id: b93db8aef6 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 美桜さん» コメントありがとうございます!真壁くんイケメンですよねまじ惚れます笑 (2019年3月9日 21時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミア | 作成日時:2019年1月7日 0時