・ ページ30
恐らく男子トイレから聞こえる、耳障りな甲高い音
まだ柊が作業を続けていることを確認した男子生徒は、教室にいる里見達に頷く
「ぶっきーはまだ作業中だ。盗聴の心配はないだろう」
「何だよ、話って」
いつも通りロッカーの上に座る甲斐が、真剣な顔をする里見に尋ねる
ギャラリーの顔を見ると、口を開いた
「中尾は多分、死んでない」
「どうゆうことっ!?」
1番に反応したのは、案の定水越だった
「さっき真壁と2人、美術準備室に行ったんだ」
「中尾がいたのか?」
「あ、いや……姿は、見てない
でも、部屋の中が少し見えて………全く同じパンの食べかけが"2袋"あった」
違う種類のパンならまだしも、わざわざそんな粗末な食べ方をする人はいないだろう
水越の顔に、少しの希望が宿る
「いやでもそれだけで生存の確定は無理があんだろ」
「あと遺体の臭いが全くしなかった」遮るように言った里見
「普通なら多少の異臭が漂うはずだ」
遺体の臭い…つまり、死臭
机に座ったまま話を聞いていたAは立ち上がり、人が群がる黒板の方に移動する
「あ、Aちゃん。パンありがとう」
見上げるように黒板を眺めていたAに、魚住がそう言った
ニコニコと微笑む彼女に、Aは愛想よく笑い返す
「うん。全く身に覚えがないけど」
「えへへ、勿体ないなぁって思って」
ほぼ忘れかけていた朝ご飯であるパンの行方
Aが授業(仮)が始まる前にに寝ている間に、魚住がちゃっかりとそれを回収したようだった
「Aちゃんほんとよく寝てたね」
そう言った辻本に、Aは苦笑いを返した
「──リモコンさえ奪えれば逃げれんだけど」
「だったら俺が奪ってやる」
真剣さを含めた甲斐の声に、何かする気なのかと、気になった生徒が振り返る
「ねぇそんなことより早く投稿者探した方が良くない?」
「でもこいつガチの変態だよ」
机に座りながら、少し苛立ちを含めた声色で言った秋庭に、河合が返す
彼女のいうように、投稿されたコメントは、本当にやったとしたら、気持ちの悪いものばかり
「こんなやばい投稿、バレたら生きていけないね」
「しかも偽の動画なんか流して…"最低"だよ」
魚住の言葉に、何処か歯痒いものを感じたAは、顔を伏せる
(最低なのは、皆そうだ)
決して口にすることの無いその言葉を、いつものように飲み込んだ
227人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミア(プロフ) - あんず飴さん» うわああめちゃくちゃ返信遅くなってしまったほんっっっとに申し訳ないです!!!コメントありがとうございます!!!! (2019年8月31日 20時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
あんず飴 - 柊先生落ちがいいです!! (2019年4月21日 18時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - イツカさん» コメントありがとうございます!何気に柊先生リクエストは初めでです笑更新頑張ります!! (2019年3月10日 16時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
イツカ(プロフ) - 柊先生がいいです!更新頑張ってください! (2019年3月10日 16時) (レス) id: b93db8aef6 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 美桜さん» コメントありがとうございます!真壁くんイケメンですよねまじ惚れます笑 (2019年3月9日 21時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミア | 作成日時:2019年1月7日 0時