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音を立て、背中を床に打ちつけながら倒れる甲斐
何が起こったのか分からず、目を見開いた彼は、腹部に走る痛みに顔を歪める
__怒りのまま、茅野は、甲斐の腹に膝蹴りをいれたのだ
「あんた達に何がわかんの!?
澪奈の、何がわかんの!?」
ぐるりと生徒達を睨みつけ、鼻を啜りながら、目に涙をいっぱい貯めて、茅野は訴えた
「澪奈はいつも凛としてて、結局薬 物なんてやってなかったし…なのに情報に踊らされて彼女をいじめたのはあんた達じゃないっ!」
初めて見た彼女の姿に、生徒達は息を呑んだまま固まった
誰も、彼女に何も言い返さない
「なんで死んでまで澪奈が悪口言われなきゃいけないの」
茅野の叫びが、教室の空気に電流を走らせるようにビリビリと伝わってくる
「許せない…絶対許せない!!」
涙を流す彼女の瞳は、怒りと一言では表しきれない感情で満ちていた
彼女がその感情を、1番に向けていたのは
「けど…1番許せないのは"私"だ」
彼女、自身だった
「私は…澪奈を被写体としてしか見てなかった
先生の言う通り、澪奈が手紙を書いたのは、ちゃんと意味があった」
ブレザーのポケットから、綺麗に折りたたまれた紙を出して広げる
「"さくらとは友達になれない"
…滲んでるの。"なれない"の文字が、澪奈の涙で滲んでる」
懐かしさの感じるその字を、茅野は優しく指で撫でた
「手紙を書いたのはきっと、"違うんだよ"って伝えたかったから…。本当は"ずっと友達だよ"って、伝えたかったから
私はそれに気付こうとしなかった…。気付かないふりをした…
怖かったから」
宇佐美は、そっと顔を逸らす
Aは、苦しい表情をする彼女を、視界の端に捉えていた
「私も澪奈みたいに、皆に無視されるのが怖かったから」
心当たりがある。皆、そんな顔をしていた
「私は、澪奈のSOSを踏み躙った」
込み上げてきたものに堪えるよう、俯く者
何かを押さえつけるよう、唇を強く噛む者
「澪奈が自 殺したのは、私のせい。私のせいで、澪奈は命を絶った」
_ごめん。ごめんね澪奈
天国にいる彼女に、届いているかも分からない謝罪
もう遅い。分かっていても、言わせて欲しかった
「それがお前の答えだな」
静かに様子を見ていた柊が、茅野に問いかけた
◇
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ミア(プロフ) - あんず飴さん» うわああめちゃくちゃ返信遅くなってしまったほんっっっとに申し訳ないです!!!コメントありがとうございます!!!! (2019年8月31日 20時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
あんず飴 - 柊先生落ちがいいです!! (2019年4月21日 18時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - イツカさん» コメントありがとうございます!何気に柊先生リクエストは初めでです笑更新頑張ります!! (2019年3月10日 16時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
イツカ(プロフ) - 柊先生がいいです!更新頑張ってください! (2019年3月10日 16時) (レス) id: b93db8aef6 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 美桜さん» コメントありがとうございます!真壁くんイケメンですよねまじ惚れます笑 (2019年3月9日 21時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミア | 作成日時:2019年1月7日 0時