・ ページ26
(止血すれば…って、無理か)
助骨の隙間から、胸骨のはみ出している心臓に一突き
心臓に刺さらなかったとしても、肺の空気が抜けて呼吸ができなくなる
「殺したのかよ…ほんとに殺したのかって聞いてんだよ！おい！！」
その叫びに、柊は何も返さない。無表情のままの彼の顔を見た甲斐は、目を見開く
「これで、大人しくしてもらえますか
それともまだ、死人を増やしますか？」
そう言った一瞬だけ、目を鋭くさせた柊
バタンッ、と音をさせてパソコンを閉じると、反射的に体がビクついてしまう
「今日の授業は、これで、終わりだ
お疲れ様」
1人礼をする柊を、呆然と見つめる生徒達
「茅野。ノートパソコン持ってこい」
え。と驚く茅野
柊は、中尾の体にしがみついて泣き崩れている水越を雑に退かすと、両足を持った
そのままずるずると引き摺れば、恐怖に怯えた顔で生徒達が自然と道を開ける
足でドアを横にあけて、廊下に出ていく
その後を追うように、身を縮こまらせるように茅野はノートパソコンを持って廊下に出ていった
残された、静まり返る教室
膝に顔をうずめて、小さく蹲ったAの耳に、震えた呼吸と、時折聞こえる嗚咽
「皆さんお待たせしました」
スピーカーから聞こえた、柊の声
「只今、3年A組の生徒30名…あ、29名になってしまいましたが、彼らを人質にとっています」
窓から外を見た生徒は、何もしない警察を恨む
「返して欲しければ、SNSマインドボイスの登録ユーザーに、1人100円ずつ、送金ボタンを押して入金させてください」
そんなことしてくれる人なんて、いるのだろうか
どうせすぐ助かるだろうとか、そんなことを思っている人達ばかりだろう
──もし自分が見る側の立場だとしたら、お前らはどうするんだ
遠回しに、柊がそう言っているような気がした
「マインドボイスのユーザーの皆さん、こんばんは
恐らくあなた達は、この事件を、エンターテインメントショーとして楽しむつもりでしょう
なので、100円は、その見物料だと思ってください」
3年A組は、見世物と同じ。そう言っている
「それでは、よろしくお願いします」
(皮肉ですか、先生)
──せいぜい楽しませてくれ
「楽しませてやるよ
戦いの始まりだ＿＿」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 227人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミア(プロフ) - あんず飴さん» うわああめちゃくちゃ返信遅くなってしまったほんっっっとに申し訳ないです！！！コメントありがとうございます！！！！ (2019年8月31日 20時) (
レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
あんず飴 - 柊先生落ちがいいです！！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - イツカさん» コメントありがとうございます！何気に柊先生リクエストは初めでです笑更新頑張ります！！ (2019年3月10日 16時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
イツカ(プロフ) - 柊先生がいいです！更新頑張ってください！ (2019年3月10日 16時) (レス) id: b93db8aef6 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 美桜さん» コメントありがとうございます！真壁くんイケメンですよねまじ惚れます笑 (2019年3月9日 21時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミア | 作成日時：2019年1月7日 0時
