親不孝な人間のお話

最期の紅茶 ページ7

始まりがあるからこそ終わりがあり、
終わりがあるからこそ始まりがある

____つまり

始まった幸せには必ず
終止符が打たれる。

それは、ある日の夜のことだった。
何時ものように、咲夜が入れた紅茶をレミリアは飲んでいた。
「貴方が、此処へ来てもう数十年。
時というのは早いものね」
「そうですね」
レミリアは、紅茶を口に運ぶと、コトン…とティーカップを置いた。
「やっぱり、貴方の紅茶は美味しいわ」
残り少ない、ティーカップの中の紅茶を見つめながら、呟くように言った。
「長年のキャリアは伊達ではありませんので」

「ふぅ。ごちそうさま、咲夜。今日はもう寝るわ」

「はい」

それは、いつも通りの別れ。
レミリアが寝室に行って、睡眠をとり、朝になったら咲夜が「おはようございます」と声を掛ける。
きっとそうなると思っていた。
いや、そうとしかならないと疑いすら持たなかった。

でも_____________________

「おやすみなさいませ、おじょうさ………」
咲夜の声が途切れ、前のめりになりながら倒れこんだ。

「………さ…くや……？」
レミリアは、呆然としながらも彼女の体を受け止め 途切れ途切れに彼女の名前を呟く。
しかし、返ってきたのは無慈悲なる静寂だけだった。

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