検索窓
今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:96,114 hit

*8* ページ9

私はそのまま森を歩き続けるが、弟者さんは見つからない。
今日はいないのかな、なんて思いながら少ししょんぼりとしながら歩いていた。
そしてふと上を見上げると、空はもう暗くなっていた。
森の道も見づらくなっている。
明かりを灯そうと、私は杖を握り言葉をかける。

「"光の神よ、我に光を与え給え"…」

そう言い、意識を集中させると、杖から明かりが灯される。
私が得意とする魔法は光と治癒。
他の魔法は使えるけどたまに不安定になってしまう。
ちなみに治癒魔法はおついち先生から沢山学んだ。

「今ここにいるってバレたら今度はきっと本で叩かれるだけじゃ済まないな…」

先の恐怖を感じながら弟者さんを再び探し始めた。
すると、奥の方から誰かがこちらに向かってくる足音が聞こえた。

「…あれ、A?」

心地良い声に、私の胸は高鳴った。
あ、会えた…!

「こんばんは、弟者さん」

杖を横に持ち直し、私は笑顔で答えた。
すると、彼は微笑んで私に挨拶を返してくれた。

「ここに来たってことは森の謎が解けたのかな?」

「はい、弟者さんに言われた言葉を頼りに解くことができました!」

私がそう言うと彼はすごいねと言ってくれたが、眉を八の字にして、心配そうに言葉を発した。

「でも、こんな暗いのに女の子一人できたら危ないよ」

「あ、えへへ…解読できたら嬉しくて」

よく考えなくても物事ひとつ覚えただけでこんなに喜んで無我夢中でここに来るって私は子供か。
そう思うと次第に恥ずかしくなってしまった。

「あ」

何かに気がついたかのように弟者さんはひとつ音を洩らした。
私はわからず首を傾げた。
その瞬間、私の背後に誰かがいるのがわかった。

「痛ぁ!?」

一瞬の隙を与えることなく、再び自分の後頭部に衝撃が走った。
あぁ、これはやらかしたなって瞬時に察した。

「んふふ、君は僕を困らせる天才だね、Aちゃん?」

昨日見たばかりの素晴らしいほどの黒い笑みを再び向けるおついちさんに、私はあはは…と苦笑するしかなかった。

*9*→←*7*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
143人がお気に入り
設定タグ:兄者弟者 , おついち , 2bro
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Sky | 作成日時:2017年9月9日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。