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"A…A、起きてください…!"

「ん…っ」

意識がハッキリとし目を開けると、そこは暗闇だった。
何も見えない、どこまでも続く決して光が見えることのない深い暗闇。

「ここは…」

"彼女の心の中です…ここのどこかに、ディウルはいるはずです"

そう言われ、そのまま宛もなく走った。
何分かかったかわからない、疲れることもなく、ずっと…ただずっと走り続けた。

「お姉さん、ディウルお姉さん…!」

走っていると、悲しくなってきた。
ディウルお姉さんがこの中にずっと閉じこもってしまっているのが、私のせいだから。
足が止まりそうになる。
…でも、誰かが背中を押してくれた気がした。

頑張れ、A。
耳に届く低く心地の良い声に、私は励まされた。
目頭に溜まる涙を拭い、再び前を向いたとき、彼女はいた。

「…」

「ディウル、お姉さん…」

一歩、また一歩と近づく。
すると、段々と聞こえてくる、彼女の啜り泣く声。
その声を聞いて、私は胸が苦しくなった。

「ごめんなさい…ごめんなさい、A…」

「どうして謝るの、貴女は何も悪くないじゃない…」

私がそう言うと、ディウルお姉さんは首を横に振った。

「違う…違うの」

顔を覆っていた手をどけ、ゆっくりと話し出す。

「本当は、こんなはずじゃなかったの…私は、自分の欲にいつだか執着心を持ち、闇が私を呑み込んだ」

「…」

「やめようと思ったわ…でも自分が自分ではなくなって、気づけば感情を抑えることができなかった…これは多分、私たち北の国の呪いなの」

呪い。
その言葉を聞き、私は目を見開いた。

「私たち北の国は、先祖が何かと怨みを持ち、怨念魔の力を年々と長に呪いをかけ、途絶えさせなかった。」

「そんな…」

「ごめんなさい、A…私が貴女と出会わなければ、貴女を苦しめることもなかったのに…私は…っ」

再び涙を流すディウルお姉さんを見て、私は彼女を抱きしめた。
気づけば、私自身も泣いていた。

「そんなこと言わないで…私は、すごく嬉しかった、誰にも相手にされなかった私に、ディウルお姉さんはずっと側にいてくれた…それを忘れてしまった私も悪いの」

「A…」

「ありがとう、ディウルお姉さん…色々遠回りしちゃったけど、私はずっと、お姉さんの友達だよ」

そう言って、私は彼女に笑ってみせた。

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作者名:Sky | 作成日時:2017年9月9日 19時

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