ある日迷いこんだ森の中で (ページ38)

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「な、に…!?」

その悍ましいほどの黒々しい魔力が弾けだすかのようにディウルお姉さんを包み隠す。
その魔力は私にまで襲ってきたが、加護の力が発動し、光の防御壁で守った。

"私が力となりましょう、今がまさにその時"

「ディウルお姉さん…」

苦しんでる…これも全部私のせいだ。
ディウルお姉さんがこうなってしまったのも、兄者さんが犠牲になったのも、皆が悲しんでいるのも全部…。

「私が…終わらせなくちゃ」

"彼女の意識から僅かに正気が感じられます、今の状態は正に魔の力に支配されてしまっています…少しでも彼女に隙ができれば助けられます"

「わかった…でも、杖がないの…魔法を上手く安定できるか…」

"私の…加護の力が出ている間は、貴女の思うままに扱えます"

その瞬間、ディウルお姉さんが後ろへ下がり上へ飛んだ。
他に犠牲を出すわけにはいかない。
周りを見ると、アザゼルが建物から姿を出し慌てた様子で彼女を見ていた。
私は前に手をかざし、防御力を上げ、建物にダメージが当たらないよう守る。

「お願い、力を貸して…」

手を組み、心の中で強く祈る。
そして手を上へ上げると、空から一瞬だけ無数の光がライトアップのように広い範囲で光る。
そして次の瞬間、光の矢が彼女にめがけて降り注ぐ。
しかし、中々固く、ディウルお姉さんを包んでいる黒い防壁は破れない。

"時間との勝負です、A!"

「一気に畳み掛ける!!」

私の得意魔法は光。
それは、私の加護の力…神が光の女神だから。
その力をうまく使えば、きっとディウルお姉さんを助けられる。
光の速さで彼女に近づく。
しかし、悍ましい魔力は形を変えつる植物の様にこちらに攻撃を仕向ける。

「っ!」

手に力を込め光の槍を作る。
それを思い切り投げ、つるの部分を切る。
でも、魔力だから直ぐ様直る。

「どうすれば…」

頭の中で色々考えながら、自分に向かってくる攻撃を避けていた。