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風が唸る。
私は、夜が明ける空を見上げながら、彼女が私を探しに来るのを待っていた。
すると丁度、後ろから勢い良く扉が開く音がした。

「A!!」

「…」

ゆっくりと後ろを振り向くと、肩で息をしているディウルがいた。
私は微笑みながら彼女を見た。

「どうやってあの部屋から抜け出したの…それにどうして逃げないの」

「貴女とお話がしたかったからだよ…ディウルお姉さん」

そう言うと、ディウルお姉さんは目を見開いた。
彼女は声を発しようとするが、その声は震えていた。

「どう、して…」

「思い出したよ、お姉さんのこと…約束のことも」

そこまで言って、私は顔を俯かせた。

「ごめんなさい…私が不甲斐ないばっかりに、ディウルお姉さんとの約束を忘れて、苦しめたこと」

でも、と言葉を続けた。
彼女はまだ信じられないかのようにこちらを見つめていた。

「私はディウルお姉さんと友達だと思ってる…それでも、貴女のしていることは許せるものでもない」

胸の前で拳を握り、自分の言いたいことを意のままに伝える。

「お願い、捕らえている人達を開放して」

言い切ると、ディウルお姉さんは拳を握りしめた。
俯き気味に、彼女は言った。

「…嫌よ」

ひとつ言葉を溢すと、彼女は勢いをつけて私に言う。

「もう引き返せないのよ、あともう少しすれば、私の国は完成するの、誰にも邪魔されない、素晴らしい国に!!」

「…」

「そうすれば、貴女ともずっと一緒にいられる、邪魔者のいない、二人の世界に!!」

ディウルお姉さんは頭を抱え、ふらつきそうになりながら再びを見た。

「なのに、どうして…」

「…私には、帰りを待っていてくれる人がいるの」

目を閉じれば浮かんでくる…おついち先生にドンピシャさん、ぺちゃんこさんと鉄塔さん、標準さん。
そして…弟者さん。
会いたいんだ、あの人たちに、彼に。

「ディウルお姉さんとも、友達でいるよ…だから、もうこんなことは、やめよう…?」

彼女に手を伸ばそうとした。

「!?」

その瞬間、ディウルお姉さんから黒い何かが勢い良く溢れ出た。

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作者名:Sky | 作成日時:2017年9月9日 19時

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