ある日迷いこんだ森の中で (ページ27)

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「…!」

ハッとし目を開き、状態を勢い良く起こした。
周りを見ると、見覚えのない部屋で、私はベッドの上にいた。

「ここ、って…」

何となく察しがついて、冷汗が伝う。
誰かに頭を掴まれてからの記憶がない。
その後も曖昧で、何が起きていたのかもハッキリしない。

「あら、起きた?」

突然部屋の扉が開き、誰かが入ってくる。
部屋が薄暗いせいで、相手の顔が見えない。

「久しぶりね、A」

ふと、どこかで聞いたことのある声に身体が震える。
この人は…もしかして。
そう思ったとき、段々と光が差し、顔が明確にわかった。

「あなたは…っ」

「また会えて嬉しいわ!」

何故か嬉しそうにこちらに笑顔を向ける女性。
私にはその笑顔が狂気にしか見えなかった。

「何故私をここへ連れてきたの」

私は敵意剥き出しで相手を睨みつける。
その顔を見た女性…ダンタリオンは悲しそうにこちらを見る。

「どうして睨みつけるの…私は貴女を守ったのに」

彼女の言葉に私は口から息が漏れた。
この人は…何を言っているの?

「守るって何…むしろ逆だよ、貴女は私の仲間を傷つけた!」

「どうしてA…私たち、約束したじゃない…」

約束…?
私には理解できなくて、そのまま後退りをする。

「覚えていないの…?」

「約束って、何…そんなのしてない…」

そう言うと、彼女は頭を抱えふらつく。
すると、ブツブツと何かを言い始めた。

「あぁ…じゃあ私がかけた魔法はあの時のが見えてしまったのね…彼奴等のせいよ、私のAがこうなっているのも、約束を覚えていないのも全部、全部!!」

ダンタリオンの狂気に私は恐怖を覚えた。
彼奴等って誰のこと、まさか…おついち先生や皆のこと、なの?
そんなことを考えていると、彼女は私に微笑みかけた。

「安心して、A…邪魔な魔導師共は私が全部消してあげるから」

そう言い、部屋の出口へと歩き出す。
待って、駄目…そんなの絶対駄目!

「やめて、皆に手を出さないで!!」

私の声が部屋に響き渡る。
彼女はゆっくりと振り返る…ダンタリオンの顔を見ると、彼女は涙を流していた。

「A、どうして…どうして、お願いよ…私を一人にしないで」

ダンタリオンはこちらに走ってきて私をきつく抱きしめた。
縋りつくような彼女の言葉に、私は困惑して、上手く抵抗することができなかった。

でも、何でだろう。
どこかでこの人と、本当に何か約束をした気がするのは。