ある日迷いこんだ森の中で (ページ25)

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「クソッ!!」

弟者は壁を殴った。
おついちは歯を食いしばった。
ドンピシャは標準を支え、悔しそうに顔を歪めた。
鉄塔とぺちゃんこは、何も言わずただ顔を俯かせ拳を強く握りしめた。

「僕は…また守れなかった…」

おついちは声を震わせながら自分への怒りを露わにする。

「何の為に血の滲む努力をしてきた…結局、僕は…!」

鉄塔は自分を責めるおついちの肩に優しく触れた。

「A…」

連れ去られる直前までの彼女の顔を弟者は鮮明に覚えていた。
目は薄っすらと開いていたが、光は一切宿していなかった。
自分たちの知らない奥底でAが苦しんでいるのかと思うと、悔しくて堪らなかった。

「皆」

重たい空気の中、ぺちゃんこが話を切り出した。

「俺達で、北の国に攻め込もう」

その言葉に、全員が目を見開く。
冗談を言っている雰囲気は一切なく、迷いもない真っ直ぐな目で彼は言った。

「危機を好機に変えるんだ、兄者さんも、Aちゃんも、俺達の力で取り返すんだ」

胸の前で拳を握り、ぺちゃんこは話を続ける。

「悔しがっていたって、悲しくたって、立ち止まれない…それに、俺達はもう、大人だよ」

人数がいれば、策は幾らでも生み出せる、難題だって絶対突破できる。

「二人を取り返そう、皆!」

彼の言葉に、全員の目に光が宿る。
立ち上がり、三人称が拳を合わせた。
おついちは、ゆっくりと立ち上がり、弟者も三人称の所へ歩む。

「…ありがとう、ぺーさん」

「くよくよしてる暇なんかないよね」

弟者とおついちも、やってやろう、そう言って拳を合わせた。
これから作戦会議だ!
そう言い、まずは自分達ができることから一つずつ片付け始めた。