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Aは子供の頃の悲惨な記憶を見せつけられていた。
「やめて…」
目を閉じたくても瞼の裏に映るのも同じ光景。
苦痛と恐怖以外の何ものも感じられなくて、Aは言葉で拒否をし続けていた。
「お願いだから、もう何も見せないで!!」
彼女の悲鳴は誰にも届かなかった。
一方弟者達は、まるで雨の様に光の矢が降り注がれていた。
防壁の周りはほぼクレーターの様に地面が抉られていく。
「くっ!」
かなりの衝撃におついちは顔を歪める。
すると隣にいた弟者が彼の持っている杖を握り魔力を込める。
「力貸すよ、おついちさん」
…しばらくすると、光の矢は止んだ。
天才の魔導師と呼ばれるおついちが堪える程の威力の魔法。
これは一体誰が…?そう思った弟者が、おついちに聞いてみた。
「おついちさん、この魔法はいったい…」
「…これは、Aちゃんがやってるんだ」
は…?
弟者の口からはその声しか出なかった。
Aが何で、どうして?頭の中はそんな疑問で埋め尽くされる。
「さっきも言った通り、Aちゃんは神の加護を受け持つ子、彼女に身の危険が迫ると加護が勝手に暴走するんだ」
そこで彼は暴走した訳を思い出す。
「…あの時ダンタリオンがAに魔法をかけたのか」
「うふ、ご名答!」
「何でAちゃんにそんなことをした!」
ぺちゃんこが怒鳴った。
彼が急に言ったため、視線はそちらに向かった。
「お前がやったのは記憶操作の魔法だろ…Aちゃんは今、苦しめられてる」
「あら、騎士様なのに詳しいのね?」
彼女は楽しげに笑った。
「何故こんなことを」
弟者が言うと、彼女は一瞬きょとんとしたが直ぐに不気味に笑い言った。
「ただの確認よ、彼女が生き残りの本人かどうか」
そう言うと、弟者の中の何かが切れた。
「その為だけに…Aを苦しめる必要があったのかよ!!」
彼が炎魔法を放つ。
しかし、それは簡単に塞がれた。
「あらまぁ、何か嫌なことでも思い出したの?」
彼女は全てを見通しているかのように、一層不気味に笑った。
「例えば…貴方のお兄さんのこととか、ね?」
「っAを返せ!」
弟者は声を荒げ、再び魔法を繰り出した。
「嫌よ、この子は私が連れて行くわ」
ダンタリオンはそう言い、他のアザゼルたちを見たがそれを気にせず空間魔法で消えようとした。
おついちが魔法で止めようとしても、彼女は安安と防いだ。
「クッ、ソ…!」
「A!」
弟者の声が、伸ばした手がAに届くことはなかった。
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作者名：Sky | 作成日時：2017年9月9日 19時
