*2* ページ3
「よ、し…!治りましたよ、ドラゴンさん!」
結構時間はかかってしまったが、怪我は綺麗に治っていた。
……魔力使いすぎたけど。
「…何故俺を助けた?」
「優しいじゃないですか」
私がそう言うと、彼は言っている意味が理解できていなく、首を傾げる。
「だって、私を殺そうとすればいつだって殺れる時はあったのに、私に森の出口を教えようとしてくれてたし、何よりどこの誰かも知らないのに、私に怪我を治させてくれたじゃないですか」
「…」
「貴方は悪い方じゃない、私が勝手にそう思ったからですよ」
私はそう言って、彼に向かって微笑んだ。
魔獣かどうかなんて関係ない、私が貴方は優しいのだと決めつけたことだから。
「…もう帰りますね!道を教えていただければそのまま行きますから__…」
「待って」
ドラゴンさんに背を向けたとき、さっきまでとは違う喋り方に思わずまた振り返ると、そこにいたのは。
「え…?」
ドラゴンの姿はなく、その場にいたのは一人の男性。
赤い髪に赤い瞳、逞しい体の長身、街に行けば沢山の女性が集まりそうなほどの容姿をしていた。
「ドラゴン、さん?」
「弟者って呼んで。帰り道、もう日も暮れてきたし案内する」
そう言うと彼は私の隣に立った。
顔を見ると、優しい眼で私を見ていた。
「もしかして…
「まぁ、ちょっと違うけど、似てないこともないかな」
そう言うと、弟者さんは先に歩き出した。
聞いちゃまずかったかな。
そう思って、話題を違う方向へと変えることにした。
「弟者さんは、本当はその話し方なんですね」
「そりゃ見ず知らずの人に会ったら警戒するからね」
弟者さんは苦笑しながら言った。
まぁ、そうだよね…私だって警戒してたし。
そう考えていたとき、あ、そうだ。と彼は話を続ける。
「この森、帰り道知らない人が入ると一生出れなくなるから近寄るなとか言われたことなかった?」
「え…?」
言われたことがないか思い返していたとき、ある人が話していたことを思い出した。
"この学校の裏には森があるけど、絶対に一人じゃ入っちゃ駄目、用があるときは必ず先生と同行してね、絶対ね!"
「…ぁー、はは…そう言えば、言われてた気がします」
私が片手で頭の後ろを軽く擦りながら言うと、弟者さんはまた苦笑しながら私を見た。
143人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Sky | 作成日時:2017年9月9日 19時