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*15* ページ16

私は音声を付けた魔法道具が飛んでいくのを見届け、敵の方へ気づかれないように視線を向ける。
教師達は次々と倒されていくのを見た。
持っている杖を強く握り、私は決心を固めた。

今いる場所より前に出てもう一度影に隠れる。
見たところ三人、相手は運良く私には気づいていないようだった。
教師全員を叩きつけたあと、アザゼル達は会話を始め出す。

「翡翠の魔導師がいないなんて、つまらないのー」

「好都合だ、私達の目的の邪魔がいないなんて」

「でも、その目的がいないみたいですけど」

目的…?
一体何のことだかわからなくて、私は息を潜め続ける。

「んー、逃げられたのかな?」

「わからないが、この学校で間違いはない」

「もう面倒くさいよねぇ、5年ごとに魔道士を捕まえなきゃいけないなんて」

「しかもここは一人しかいないですしね」

よく理解できずに、話はどんどん進んでいく。
魔道士を捕まえる、その言葉に弟者さんが言っていたことを思い出す。
「15年も前…襲撃された時、兄者は俺とおついちさんを庇って北の国の奴等に連れて行かれたんだ」
…ということは今年も丁度年を重ねて5年目。

「えーと、今年は誰だっけ?」

「上から伝えられたのはAという女魔道士ですね」

自分の名前が聞こえた瞬間、私は息を呑んだ。
…やはり今この状況で戦うのは不利だ、魔力も今あまりない、体力も万全では無い。

「でもまあまだ近くにいるかもねー」

「ここにはいないみたいですしね、これ以上時間を割かれるのは困りますし近くをあたりましょう」

そう言い彼等は空を浮き始める。
私はせめて特徴だけ残そうと、少しだけ眼に魔力を貯め彼らの姿を焼き付けた。
そしてアザゼル達が消えた後、私は緊張が溶け汗が滲んだ。
最悪だ…こんな日に限って彼らが来るなんて。
おついち先生に報告しておかないと。
奴等がいつまた来るかわからない、それに…目的は私だった。
そのとき、私は一つの可能性を考えた。

「…でも、これじゃきっと怒られちゃうな」

苦笑しながら、私は怪我をしている教師のもとへと走る。
一つの可能性は、頭の隅に置いておくことにした。
アザゼル達が戻る前に、この状況を落ち着かせよう。
そう判断し、私は強く、そしてこの場のできるだけ広い範囲に届くように回復魔法の呪文を唱えた。

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作者名:Sky | 作成日時:2017年9月9日 19時

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