【鬼滅の刃】偶然、または必然か・肆【ハンターハンター】

170話　上弦の参(語り手said ) ページ46

「集中｣



煉獄は炭治郎の額に指を当て、集中を促す


呼吸は、極めれば様々なことができるようになる

決してなんでもできるわけではないが、確実に、昨日の自分より強くなれるのだ



「ぶはっ、はぁっ、はっ｣

「うむ！止血できたな！｣



炭治郎は、煉獄の説明通りに体の隅々まで神経を行き渡らせ

男に刺された部分の止血を完了した



「鬼は死んだ！皆無事だ！怪我人は大勢だが命に別状はない。A少女もだ！｣



煉獄はいつもの元気のある声で言った


そしてAのことを、壊れ物を扱うように優しく、丁寧に

サラサラとした長い髪を触り、撫でた


その表情、手元からは限りない愛が伝わってくる


「(ああ、もしかして煉獄さんは.....)｣


どうやら炭治郎もそれを悟ったらしい、なんとも言えぬ表情で二人を見つめていた




「とにかく、君はもう無理せず......｣



再び煉獄が口を開いたそのとき


ドォンｯ

「！...なんだ！？｣



少し離れた所に、何かが落ちて着地したような音

土煙の中で二人の視界が捉えたのは、一つの人影だった



桃色の髪、全身に広がる紋様のような線

そして


瞳にある、上弦 参という文字



「(上弦の.....参？どうして今ここに....)｣



その鬼は次の瞬間、その場から消えた



いや、消えたように見える速さで移動したのだ

気が付いたときには、もう炭治郎の目の前に拳がせまっている



"炎の呼吸 弍ノ型 昇り炎天"



咄嗟に煉獄が繰り出した技によって、その拳が届くことはなかった



「.....何故手負いのものから狙うのか理解できない｣


「話の邪魔になるかと思った、俺とお前の｣

「君と俺がなんの話をする？初対面だが俺は君のことが嫌いだ｣



明らかに敵意を見せる煉獄と、反対に友好的に見える対応をする上弦の參

嫌いと言われたことが気にならないかのように、鬼は話を続けた



「お前も鬼にならないか？見ればわかるお前の強さ、柱だな？

　 その闘気、練り上げられている。"至高の領域"に近い｣


「ならない。俺は炎柱の煉獄杏寿郎だ｣



冷たく睨んで、煉獄はしっかりと言った

"鬼にはならない"、と



「何故人にこだわるのか理解できない

　 鬼は死なない老いない、百年でも二百年でも鍛練し続けられる｣



その鬼の名は猗窩座といった

強さに異常な程の執着を見せ、努力だけで上弦の参という立場まで登り詰めた






「老いることも死ぬことも、人という儚い生き物の美しさだ｣

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