【鬼滅の刃】偶然、または必然か【ハンターハンター】

番外編　散歩 ページ19

『今日はいい天気ですね、冨岡さん』

「...そうだな｣



隣にいる冨岡さんに話しかける

今、ちょうど買い物から帰っていたところだ

降り注ぐ日の光は暖かく、とても冬になりかけているとは思えなかった


ふと、道の横に目を向ける

そこにはまだ小さな猫がいた



『わあ、冨岡さん猫ですよ

　 可愛いですねぇ』


しゃがんで優しく撫でてやれば気持ち良さそうに喉をならした

可愛いなぁ、野良猫だろうか？少し毛が汚れている



『あの、冨岡さん

この子...』



飼っちゃダメですか？そう聞く前に口を閉じる

私の後ろにいた筈の冨岡さんは、数歩後ろに後ずさっていた


これはもしや？



『冨岡さん、猫はお嫌いですか』

「...嫌いじゃない、苦手なだけだ｣



それを嫌いと言うんですよ、冨岡さん

心の中で苦笑しつつ冨岡さんの目を覗く


本当に嫌悪している感じではないな...どちらかと言えば怖がっているように見える

昔ひっかかれたとかだろうか？



『大丈夫ですよ冨岡さん

　 この子人懐っこいですし、ひっかいたりしません』



そう言うと、冨岡さんは何故わかった！？みたいな顔をしていた


その顔面白いなぁ


なんて呑気なことを考えながら、冨岡さんの説得にかかる



『ほら、こんなに可愛いんですよ？

　 それにこれから寒くなるのに外で寝るのは可哀想です

　 冨岡さん、私がちゃんとお世話するので飼っても良いですか？』



首をコテン、と傾げてあざとさをアピールしてみるものの冨岡さんには効果がなかった


おねだりは失敗かぁ、ならば次の作戦は...


そう考えているうちに猫はスルリと私の手から抜けてしまった

あぁ、行っちゃった


そう思い目を向けるとそこには困惑した冨岡さんと冨岡さんに頭を擦り付ける猫がいた


なんかシュールだな、ってそうじゃない




『良かったですね

　 その子は冨岡さんが好きみたいですよ』



ニコリと笑い掛けるとむ...と声を出す冨岡さん

ここまでくれば後ひと押しだ



『冨岡さん、今まで言いませんでしたけど一人で待つのは不安なんです

　 でもきっとこの子といたらそんなことないと思うんです...！』



お願いしますっ...！と言って冨岡さんを見つめれば、気まずそうに目をそらされた

数秒間考え込む仕草をして、こちらを向いた冨岡さん



「新しい飼い主が見つかるまでだぞ｣

『はい！ありがとうございます！』




後日、この猫は冨岡さんの仕事仲間に貰われて行きましたとさ

めでたしめでたし

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