【鬼滅の刃】偶然、または必然か・漆【ハンターハンター】

275話　守る ページ2

『.....ぇ、獪岳さん！』



てっきり手を掴んでくれると思っていたため、咄嗟な反応ができず

獪岳さんに突き放されるがまま、私は後ろに倒れる



＿＿＿＿＿どうして？


呆気なく遠ざかっていく獪岳さんと鬼の姿を見ながら、私はそこから動けなかった



私がもっと強ければ、彼に捨て身の選択なんてさせずにすんだだろうか

相手を圧倒できるほどの力があれば、彼は今私の隣にいただろうか



情けない、本当に.....


絶対に守るだなんて馬鹿なことを言って

誰かを守りきれたことなんて、一度もないというのに




「カァーー！！コッチダ実弥！ソシテ無一郎！」

「嗚呼......こちらだ.....」




ふと、遠くから七玩丸の声が聞こえる

他の鎹鴉も一緒だ......いったい誰の鴉だろう？


無一郎と実弥って言っているから、二人のうちのどちらかかな



そんなことを考えながらも、石のように固まった私の体は動かなくて

嗚呼、このまま消えてしまいたいな、なんて




「......Aｯ！大丈夫？怪我は！？」

「おい流星ェ、何があった？鬼は？一緒だった隊士はどこだァ？」




七玩丸に呼ばれて来てくれたんだろう風柱と無一郎君が、私に駆け寄ってくる


ごめんなさい二人とも

私には、大きな怪我なんて一つもない


大変なのは獪岳さんだから、彼を助け出さないといけないのに



それを伝えることすらままならない私の口からは、言葉にならない汚い音しか出てこない

無一郎君は、私の顔を見てギョッとしたように目を見開いた




「泣いて、るの....？A....」




そっと頬を伝う滴を拭ってくれる無一郎君の優しさに、張り詰めていた気が緩んだのかもしれない

次の瞬間、私は無一郎君に抱きついていた



『ッ....獪岳さんが....私の代わりにらつれて行かれたの！鬼に！

　上弦の壱に....私、手も足も出なかった......悔しい、悔しいよ無一郎君.....ッ！』


「！？上弦の壱、だァ？テメェの見間違いじゃねえんだな？」




上弦の壱と聞いて顔色を変えた風柱に、コクンと頷いて見せる


怒鳴られるだろうな

柱として不甲斐ないって、テメェには柱の資格なんかねえって



風柱がスッと腰を屈めたのを見て、殴られるのを覚悟し目を閉じる



が、予想した衝撃はやってこず




「よくやったァ！！手も足も出なかったっつぅことは、戦ったな？鬼の戦い方は見たか！？」


『ぇ.....あ、はい....』




風柱は、大きな傷だらけの手でわしゃわしゃと私の頭を撫でていた

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