【鬼滅の刃】偶然、または必然か・伍【ハンターハンター】

190話　誰がため ページ22

鬼の被害などの報告がない分、平和だと喜ぶべきなのか

それとも、鬼の情報を未だに全く掴めていないことで嘆くべきなのか


いずれにせよ、音柱のメンタルには何事も響かないようである



『こんなところで無駄話するより、早く情報を集めてはいかがです？音柱様』


「こんなところでってなあ、ここお前の勤め先だせ？それに、お前も情報集められてないだろ」

『......口先だけは達者だこと』

「はは、ド派手にイラついてんな！面白ェ！」




この人は全く、なんて呑気なんだ......

音柱のあまりにも呑気な態度を見て、内心少し呆れてしまう


音柱も、仕事はちゃんとしている

ここに来たのは現状把握と多少の気分転換であり、ただ自分のために来たわけではあるまい



それを頭ではわかっているのに、私は音柱の態度にどうしても好感を持つことができなかった


煉獄様がもう少し前にあんなことになったと言うのに、私はいったい何をしている？


音柱も、同じ柱だったはずなのに

悲しんでいるように見えないのは何故？そのことすらも心に響いていないように見えるのは何故？




『........用がないのであればお引き取り願います。私はまだやることも残っていますので』




半ば強引に話を切り上げるよう私は頭を下げた

このまま意地でも顔をあげなければ、流石の音柱も帰らぬわけにはいかないだろう


そう思ったのに



「まあ、そりゃお前の言う通りなんだがよ........その、なんだ

　 何があっても無理はするなよ」



音柱は、下げた私の頭にそっと手を乗せてきた



「お前見てるとな、昔の自分見てる気になんだよ。感情も捨てて、ただいつか死ぬためだけに生きる

　 煉獄との任務のことで打ちのめされてんのは知ってる。誰もが通る道だ


　 ただな、煉獄のためにもそんなしんみりした顔ばっかすんなよ」




その言葉には、何かを懐かしむような響きがあった


忍びになるためには、己を殺す必要があったのだろう

人を殺すためだけの道具に人の心はいらない。私も、音柱も


.........謝らないといけないな




『音柱様、も、申し訳ありません......』

「しんみりすんなって言ったばっかだろうが！ったく、んじゃな。俺もう行くわ」

『あ、は、はい』




音もなく、風のように襖から出ていった音柱


煉獄様のためにも、か.......

私にはまだ少し、難しいかな、なんて



そのとき、頬を撫でるそよ風が、何故かほんのりと暖かく感じた

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