【鬼滅の刃】偶然、または必然か・伍【ハンターハンター】

181話　心の変化(炭治郎side) ページ11

無限列車での一件があってから、Aは少しだけ変わった

人の助けや支えになろうとした


それは前から傾向はあったものの、今ほどではなかった

彼女の顔から笑みが消えるところを俺はあれから見ていなかった



悔しいなぁ


一つできるようになったと思ったら、またすぐ目の前に新しい壁があって

すごい人はもっとずっと先で戦ってるのに俺はそこには行けない



悔しいなぁ、悲しいなぁ

こんな弱い自分が嫌だなぁ
　



『大丈夫、大丈夫だよ炭治郎。貴方ならできる。あと一歩。一歩だけ諦めずに進んでみよう』




でも、打ちのめされた俺に、Aは優しく話しかけ続けてくれた

......Aだって、苦しいはずなのに




どんなに強くても、強く見えても


人であるからには悲しみも怒りも感じるわけで、蹲りたいとか止まりたいとか

そんな感情は変わらずあってそれが当たり前で



だけどAはすごい

あんなに優しいんだから、深く深く傷ついたはずだ。不甲斐ないと、何度も己を責めたはずだ


それでも、立ち直るのが早かった

俺たちの中で誰よりも




『炭治郎、荷物は捨てるか誰かに持ってもらうしか軽くはならないんだよ』




いつか、彼女はそう話した




『炭治郎は優しいから、きっと他の誰かが抱え込んでいる物を持ってあげる

　 そして、何かを捨てることはない。誰かに助けを求めることもない


　 それで良いの？炭治郎。荷物は重すぎたら進めないよ

　 どうしても進めくて、倒れてしまったとき、いったい貴方はどうするの？』




俺はその答えをすぐに見つけることができなかった


何も言えなかったんだ

Aが言うことは最もで、正しかったから


それでも俺は言った

答えなければいけない気がした




「俺は......そのときは、ゆっくり止まって休むよ。そして鍛える

　 俺は捨てない。人にも、迷惑をかけたくない。だから


　 自分で持てるようになるまで、待つ。それじゃダメか？A」




でも彼女はそれに答えなかった

ただ俺の方を見て、柔らかく温かく笑うのだ



そんな彼女の笑顔に、俺を含め善逸、伊之助、蝶屋敷の皆も無意識に甘えた

彼女は本当に強かった



充分に休んで、体を回復させて

今日も俺たちは鬼を狩る


全ては鬼を滅するため。あの人の努力を無駄にしないためだ









「放してください、私ｯ.....この子はｯ.....」






蝶屋敷付近に、アオイさんの焦ったような怖がったような声が響いた

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